ネリー・オルソンイライザ・ジェイン「小さな家」シリーズを読む限りで、ローラはイライザ・ジェインのことをあまり好きではなかったようですが、イライザ・ジェインは、ローラと同じように、独立心の強い行動的な女性で、ローズにかなりの影響を与えたようです。東部の学校で数年、先生をした後、31歳の頃、一人で「開拓農地」に住み(※)、デ・スメットの学校で教えるようなります。その後結婚し、ルイジアナ州、クラウリーに移住しています。ドナルド・ゾカート氏のローラの伝記によると、イライザ・ジェインは、1902年頃にマンスフィールドの岩尾根農場を訪れ、16歳のローズを良い学校に通わせるために、クラウリーへ連れて帰ったのだろうということです。高校時代をイライザ・ジェインの家で過ごし、ローズはカンザス・シティーで電信技士の職に就きます。そして、20世紀の「キャリア・ガール」としての道を歩き始めるのです。 また、イライザ・ジェインは女性が選挙権を持つべきだと考えていました。このことについては、こちらをご覧ください。 ※ 西部と言えば「荒くれ男」の土地で、女性が一人で住む場所ではないという時代に、一人で開拓農地を手に入れたイライザ・ジェインはたいへん勇気のある女性だと考えられます。開拓農地については、「小さな家」に描かれたアメリカや自営農地法(=ホームステッド法をごらんください。 ローラのかあさんであるキャロラインのかあさんである「クウィナーのばあちゃん」もイライザ・ジェインと同じように勇気のある女性で、ドナルド・ゾカート氏は「どんどん進んでいく精神」の持ち主(22ページ)と呼んでいます。クウィナーのばあちゃんは夫(キャロラインの父親)の死後、政府の土地を手に入れ、子供を育てながら開拓しています(後に再婚)。1 ドクター・タンドクター・タンは、インディアンを診るお医者さんなのです。北へむかってインディペンダンスの町へいく途中、ここによってみたのでした。(232ページ) ドナルド・ゾカート氏の伝記によると、ドクター・タンは実際にいた人物で、1936年にペンシルバニアで生まれ、1869年に「大草原の小さな家」があったカンザス州、ストランド地区へ両親と使用人といっしょにやって来たようです。「貧しい人々の科学」と呼ばれた「同種療法」(民間療法のようなものでしょうか?)のお医者さんで、南北戦争中は北軍の兵隊だったようです。1909年に死亡しています。 私が恩地美保子氏の「小さな家」シリーズに出会う2年くらい前、『草原の少女ローラ』というアニメがTBSで放送されていました。私は本を読んだ後で『草原の少女ローラ』が『大きな森の小さな家』と『大草原の小さな家』をもとにしていることに気づきましたが、このアニメで一番印象に残っているのが、ドクター・タン(アニメでは「タン先生」だったと思います)なのです。ストウ夫人の『アンクル・トム』の小屋を子供向けに訳したものを読んだ頃で、奴隷として強制的に働かされていたと思っていた黒人の中にもお医者さんがいて、白人のローラたちを助けているのにおどろいたからだと思います。 アメリカNBCテレビの『大草原の小さな家』に、ドクター・タンは登場しているでしょうか? ご存知の方はこちらへご一報いただければありがたいです。 |