「量子論の諸問題と今後の発展」(QMKEK)における研究成果の発表

2014年3月10日(月曜)・11日(火曜)、高エネルギー加速器研究機構(KEK)で開催された研究会「量子論の諸問題と今後の発展」において、量子複雑系の基底状態エネルギーに関する最新の研究成果「量子複雑系の基底エネルギーに関する数理解析」をポスターによって発表しました。

概要

電磁気力によって相互作用する量子多体系の基底状態は、シュレーディンガー作用素に対するスペクトル計算から求めることができる。 そのような量子複雑系の基底エネルギーについて、粒子数に比例した負のエネルギーで下に有界でなければ、安定性が成り立たない。LiebとThirringは1976年、量子系の安定性に基礎を与える不等式を数学的に証明し、 ある予想について述べた。現時点では、その予想は肯定的にも否定的にも決着がついていないが、Dolbeault、LaptevおよびLossによって2008年に示された係数の精緻化が最善の成果であり、Lieb-Thirring予想の解決に向けて多くの研究者が証明の試みに取り組んでいる。 一方、2011年に全く異なるアプローチを提案したRuminの手法に沿ってSolovejらがLieb-Thirring予想の解決を目指している。 本研究は、Rumin-Solovejの手法を基盤としてLieb-Thirring不等式の精緻化およびLieb-Thirring予想の十分条件を提案するものである。

発表ポスター

量子複雑系の基底エネルギーに関する数理解析

本研究は、量子冷却系の基底状態の解析にも応用されることが期待されます。

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