言語文化科目案内から


@ドイツ語
 ちょっとドイツ人の性格を物語る面白い話しを紹介します。わが松山の姉妹都市フライブルクはシュヴァルツヴァルトという森に隣接しています。シュヴァルツヴァルトは直訳すると「黒い森」で文字どおりドイツ有数の森のひとつ。おなじバーデン-ヴュルテンベルク州のヴィール村は60年代に原発が建設される予定になりました。これに反対する市民運動が盛り上がり政府の計画はついに廃案に。こんにち世界的に有名な環境保護政策のきっかけです。みなさんもここまで読んで「ドイツはなんて素晴らしい国なんだ」と思うでしょう。だけれど広大なシュヴァルツヴァルトからしてが、石器時代に燃料としての樹木を伐採しつくしてしまったために、あとで樅の木を植林したことが端緒となったと言うから驚かされます。

 たしかに中世の文化が残る町並みや風光明媚な風景を楽しむのも一興でしょう。さらにパンやビールなど食文化の魅力が学習の動機になっても構いません。だけどシュヴァルツヴァルトのように紆余曲折してきながら、着実に成長してきたドイツの社会というものに目を向けてほしいのです。たんに旅行者として楽しんだあとも学ぶべきものを提供し続けてくれるのがドイツ語圏の本当の魅力だと思います。たとえば環境を保護するための企業マネジメントや法整備を学んでもいいし、あるいは経済や福祉の面から環境政策を追求していったって面白いでしょう。

 さいわい松山大学は夏にドイツで1ヶ月近く短期語学研修を行なっています。この研修の訪問先に2000年度からフライブルク市を加えたのにともない、ドイツの環境政策にかんする特別授業とフライブルクの環境施設の視察も体験できます。

 だけどドイツ語は難しそうだ、と言っているあなたには、
1) ドイツ語は発音が簡単なので1学期だけでマスターしてしまう学生もいる
2) なんて言っても英語とおなじ系統なので単語も文法もかなり似ている
3) みなさんの先輩は2年生でドイツの研修に行っても大丈夫だった
と強調しておきましょう。わが松山大学にはネイティヴ・スピーカーの先生が3名もいますし、さらには語学研修や留学助成の制度もあるので、ドイツ語の能力を身に付けるには恵まれた環境です。

 みなさんはシュヴァルツヴァルトの森をどんな思いで歩きますか。


Aドイツ語基礎科目ドイツ語1・2の学習目標と成績評価基準】

 わたしたちのドイツ語1とドイツ語2はともに、「聴く」「話す」「読む」「書く」の四つの能力を、みなさんの理解度に合わせながらゆっくり授業します。たとえばドイツ語1では自分や相手について、名前・住所・出身・国籍・年齢・趣味を表現したり尋ねる勉強をします。ここで学んだことを基礎にしてドイツ語2では、ドイツ語圏のレストランでの注文・支払いや買い物の仕方などを学んでいきます。ちなみに文法項目としてドイツ語1では動詞(seinや habenおよび規則動詞)と冠詞類の格がポイントとなり、これにドイツ語2で履修する話法の助動詞や分離動詞が加わっていきます。ここまで行けばドイツ語検定試験の4級に合格するレベルは達成できるはずです。

 ただし文法だけでなく様々な表現と密接に結び付いているドイツ語圏での社会事情も重要なポイントです。たとえば相手を指すときに敬称の Sieで言うのか親称の duで言うのかはドイツ語学習の大切な項目のひとつです。これをカセットやヴィデオをとおしてコミュニケイティヴに身に付けていく練習をする予定です。

 みなさんの最も関心のある成績評価は基本的にはフランス語とだいたい同様です。ただしネイティヴと日本人の先生がペアーで担当する「口頭クラス」では、ネイティヴ100点+日本人100点+定期試験100点を3で割った成績を付けていますが、これ以外のクラスでは担当者ごとに異なってきますので、さいしょの授業のさい評価の仕方については十分に説明を受けてください。さらにクラスによっては欠席が3分の1を超えると自動的に定期試験の受験資格を失うこともありますので注意してください。ちなみに1999年度の成績評価の状況は以下のとおりでした。

 ドイツ語1の単位認定率(Xと欠席以外の評価を得たもの):87パーセント
 ドイツ語2の単位認定率(Xと欠席以外の評価を得たもの):78パーセント
 ドイツ語1のA評価認定率:32パーセント
 ドイツ語2のA評価認定率:26パーセント

 ここで注意してほしいのは定期試験の受験資格がないため単位が認定されなかった率が、ドイツ語1とドイツ語2でそれぞれ8パーセントと18パーセントもいることです。これは初めて学ぶ外国語では科目の性質から他の科目にくらべて出席がはるかに重要で、ぎゃくに出席しながら教員から出される課題をきちんとこなしていれば、あんがい単位は取りやすいということが言えます。みなさんには分からないことがあったら一人で放置しておかないで、なるだけ教員のところに質問に行って早めに解決することをお勧めしておきます。


B履修モデル

 みなさんが履修するうえで参考になるようにコースを三つに分けて紹介しましょう。

1) 留学準備コース わたしたちドイツ語スタッフが一推しに勧める、「松山大学短期海外研修」に参加するためのコースで、ネイティブ・スピーカーの先生によるアクティブIと日本人教員のアクティブIIがあります。これらの授業内容はずばりドイツでの日常的な場面で用いる表現を身に付けるものです。

2) 独検対策コース なにより松山大学が全国に誇る「海外語学研修制度」の奨学金(2001年度実績は40万円)を利用して留学するため、この制度の条件となるドイツ語検定試験を目指すもので、4級のためのプロフィシエンシィIと3級のためのプロフィシエンシィIIがあります。

3) レベルアップ・コース これはネイティブ・スピーカーの先生によるドイツ語ライティングと、日本人スタッフによるドイツ語リーディングの二本立てのコースです。

 ちょっと参考までにある学生の日記のスタイルで、ドイツ語をどう学んだらベストか紹介してみましょう。こんなことが松山大学でも出来るんだよ、という一例として読んでください(注も参考に!)。

1年夏:あこがれの「インターウニ西日本」1)に参加し、ドイツ語圏の先生や日本人の学生と5日間にわたるドイツ語の学習をし貴重な自信と思い出となった。
1年2学期:プロフィシエンシィIの先生にお願いして授業を受けさせてもらい、なんと11月の独検4級2)に見事合格してしまう!
2年1学期:ことしの夏の「短期海外研修」で少しでも自分で行動できるよう、アクティブのIとIIを両方履修することに。
2年夏:なんか自分でも信じられないくらい充実した毎日をプリーン3)で過ごしている。この「短期海外研修」の終わりにある周遊旅行(4泊5日)では、松山の姉妹都市フライブルクの環境施設も視察できた4)。
2年終わり:なんとか3級合格の通知が届いて2年間の努力が実を結ぶことに。
3年夏:ことしは「海外語学研修制度」で一人で留学するからちょっと不安だけど、だけどそのぶん充実した留学生活を送りたい。
4年春:たしかに卒論と就職活動も迫っているけれど、これだけドイツ語を頑張ってきたんだから、「松山フライブルク交換留学奨学金」5)にもチャレンジしようかな……。

注)
1) これは日本独文学会が9月に主催するゼミで、日本とドイツ語圏双方の教員と全国からの学生が集まって、ドイツ語の学習を寝食をともにしながら行なうものです。みなさんのなかで参加希望の方はドイツ語教員に相談してください。
2) 独検は6月と11月に実施され松山大学と愛媛大学が交互に会場となっています。なお受験申込は松山大学生協でも受け付けています。
3) プリーンは「短期海外研修」をお願いしている、ゲーテ・インスティトゥートの学校がある場所で、ミュンヘンから列車で南に1時間のところに位置する保養地ともなっています。ちなみに2000年度は参加した「16名全員」が「良かった」とアンケートに答えています。
4) これはフライブルク大学の協力で2000年度から実現したプログラムで、プリーン研修中にも「環境」をテーマとした特別授業を計画しています。
5) 毎年1名という狭き門ながら留学期間1年という制度で、なかには松山大学から合格した先輩がいるのも事実です。


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