このプログラムによって目指しているのは学生の理解にあわせたきめ細か な授業の実践 です。
「学生本位の授業を」というスローガンはだれでも口にしますし、実際にみなさ んが目指していることだと思います。
しかし、いざ現場でそれを実践しようとしたとき、10ー20名のゼミみたいな少人 数クラスならともかく、(経験的に言えば)50名を越える授業で学生の理解度を把握 し、それに合わせたきめ細かな授業を実践しようとすれば毎回小テストをおこな うか、アンケートをとるしかありません。
数年前から 200名規模のクラスで毎回の小テストを行い始めたとき、すぐに理想 と現実のギャップにぶつかりました。
当時は週2回の授業がありましたので、他の授業やゼミ、各種いろいろな仕事を抱 えながら次の授業の 時に出来が悪かった部分についての解説をやり直すために、200名の採点 と問題別の集計を毎週2回行うのはきわめてつらい仕事でした。さらには結果をみ てから必要ならば復習のためのプリントをつくる必要もありました。
幸い僕の授業は理解度を計るためのテストをマークシートにしやすい授 業でしたので、次に考えたのはテストをすべてマークシートにしてしまうことで す。
ところがそれも実際にやってみると、いくつもの障害にぶつかりました。前節で 述べたことですので繰り返しません。
その障害をクリアするためには自分で処 理のためのプログラムを書かねばなりませんでしたが、そうすることによってずい ぶん採点・集計が早くなり、それによって「学生に教える」という本来の仕事時間が 増えたため、授業改善の役に立ったと思っています。
そのとき思い当たり、また、全学FD協議会での議論を聞いて思ったのは
自分でプログラムをかける人ならなんとか楽になることができるが、それが出来な い人はずっと忙しいままでいるか、授業改善をどこかで妥協するかの選択に 迫られるということです。
つらい選択であることはいうまでもありませんし、まじめに授業と研究に取 り組んでいる人ほどきつい環境におかれることになります。
そこで、僕なりにアドバンテージが(多少は)あるプログラム作成で実際の 授業での採点と集計に合わせた、フレキシブルなプログラムを提供することに よって、
自分が楽になり、かつ、もしかしたら楽になる人が増えるかも知れないことが可能だと思い至りました。