有事関連3法案

 重要4法案の成立について

※郵政関連法案  ==賛成42.0% 反対40.0%

※個人情報保護法案==賛成29.0% 反対52.0%

※有事法制関連法案==賛成26.6% 反対52.2%

※健康保険法改正案==賛成23.4% 反対57.8%

テレビ朝日『サンデープロジェクト』02年6月7・8日電話世論調査(有効回答500)。

 

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政府・与党は、本格的な有事(「戦時」・「戦争」を意味する)法制としては戦後初の立法措置である、有事における政府の対応の基本理念や基本方針などを明記した「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」(「武力攻撃事態平和安全確保法案」)・「武力攻撃事態法案」)(包括法案)と、日本が武力攻撃を受けた際の自衛隊の活動を円滑化するための「自衛隊法改正案」・「安全保障会議設置法改正案」(個別法案)の「有事関連3法案」を02年4月16日夕に閣議決定し、17日、国会に提出(公明党は4月16日夕の政調全体会議で法案を了承)==⇒自民党は、有事関連3法案を審議する衆院特別委員会の委員長に、防衛長官を2度務めた瓦力・元建設相を充てることを決めた。なお、特別委員会は週内にも設置され、委員数は45人となる。

なお、今回間に合わずに先送りした、住民の避難措置や米軍支援、捕虜の人道的措置など残る有事法制などの関連個別法は武力攻撃事態法施行日から「2年以内」に提出の予定。

 

緊急事態対処に関する小泉首相談話<全文>

 

 政府が02年4月16日、有事関連3法案と併せて閣議決定した「国家の緊急事態への対処態勢に関する首相談話」の全文は次の通り。

 国家の緊急事態に対する対処は、国の最も重要な責務であります。政府は、これまで、様々な緊急事態に対して、法制、運用の両面にわたって対処態勢の整備を図ってまいりました。しかしながら、昨年の米国同時多発テロは、想像を超える態様と規模の事態が現実に起こり得ることを示し、また九州南西海域不審船事案は、我が国の安全を脅かすおそれのある武装不審船の存在を明らかにして、国民に大きな不安を与えました。

 政府としては、このような現実を踏まえ、我が国の緊急事態対処の全般を見直して、いかなる事態にも対応できる安全な国づくりを進める所存であります。このため、日本国憲法の下、武力攻撃事態への対処に関する基本理念を明らかにするとともに、国家の緊急事態に関する安全保障会議の機能をさらに強化するほか、法制面、運用面を含めた施策を講ずることによって、政府としての総合的対処態勢を一層充実させ、国民の安全を確保していくこととしております。

 当面する課題への対応は次のとおりです。

 第1に、安全保障会議の機能を更に強化して、国家の緊急事態発生時には国としての事態の評価、対処方針の策定等について、また平素は種々の事態への対処について総合的に審議する等、同会議が国家の緊急事態対処に関する枢要な役割を担うようにいたします。このため、安全保障会議設置法の改正法案を今国会に提出することといたしました。

 第2に、九州南西海域不審船事案を踏まえて、政府としての武装不審船対応要領の策定、不審船の発見・分析及び追跡能力の向上、現場職員・隊員の安全を確保しつつ対処するための装備の充実等により、武装不審船に対して効果的かつ安全に対処できる態勢を整えます。

 第3に、出入国管理、テロ資金監視、重要施設の警備、ハイジャック対策、NBCテロ対策の強化等のテロ対策を引き続き推進するとともに、警察機関と自衛隊のより緊密な連携のため運用面の改善を図ることといたします。

 第4に、武力攻撃事態に対処するための法制を整備するため、基本理念等を定めるいわゆる武力攻撃事態対処法案及び自衛隊法等の改正法案を今国会に提出することといたしました。

 政府は、当面以上のような課題に全力をあげて取り組む所存ですが、国家の緊急事態対処態勢については、情勢の変化に対応して不断の見直しを行い、国民が安心して暮らせる国づくりを推進いたします。国民の皆様の御理解と御協力をお願いする次第です。

 

小泉首相のメッセージ(4月18日付メールマガジン『らいおんはーと』より)

 

日本に緊急事態が発生したとき、日本と日本国民を守るために、政府や自衛隊がどういう行動をとるのか、都道府県や市町村はどう対応すべきか、国民にはどのような協力を求めればよいのか。
 ところが、そのための基本的な仕組みは、これまで十分には整備されていませんでした。
 備えあれば憂いなし。
 緊急事態に遭遇したときどのように対処するのか。日頃から準備ができていれば、かえって緊急事態の発生を防ぐことにもつながります。
 国の緊急事態は、武力攻撃を受ける事態、武装不審船やテロ、さらには大規模自然災害など様々なものが考えられます。いかなる事態にも対応できる安全な国づくりが必要です。
 今回の対策では、安全保障会議を強化して緊急事態への対処機能を向上させるとともに、武装不審船やテロにしっかり対処できるよう様々な施策を講じます。とりわけ、これまで課題とされていた武力攻撃を受けるような事態に対処するための法制について、整備に着手します。
 今国会で十分議論していただいて、法案の早期成立を目指します。

 

「STOP有事法案」「有事三法案に反対です」==⇒02年6月5日正午すぎの炎天のなか、有事法案の廃案を求め、大阪弁護士会所属の弁護士ら400人が、「有事法案は、国民の基本的人権の侵害が予想され、自衛権の範囲もきわめてあいまい。この国会で廃案にもちこんでいきたい」(大阪弁護士会佐伯照道会長のあいさつ)大阪市北区の御堂筋など昼休みのオフィス街をでも行進した。

また、沖縄弁護士会も同日、国会で審議中の有事関連三法案について、廃案を求める声明(「〔太平洋戦争末期の沖縄戦で〕日本軍は戦闘行動の準備、遂行の名の下に住民の財産を奪い、米軍から住民の生命を守らなかった。自衛隊は米軍施設は守っても住民の生命・財産は守ってくれないのではないかと不安を抱く県民は多い」)を発表した(02年6月6日付『しんぶん赤旗』)。

 

自民党の野中元幹事長は、02年4月13夜、北京市内で同行記者団の質問に答え、「国家の安全にやや焦り気味になり過ぎているのではないか。もっと先に経済問題など国家の根幹にかかわる問題の議論を静かにする場が欲しい」と述べ、景気対策を優先すべきだとの考えを示し、古賀誠前幹事長も「延長してでもやるというのは性急すぎる」と指摘、保守党の二階俊博幹事長も「デフレ対策での延長ならともかく、別のことでは反対だ」と語った。

 

☆ 有事法制関連3法案の閣議決定を受けて野党各党が4月16日発表した談話の要旨☆

 ※民主党(伊藤英成「次の内閣」外務・安全保障大臣)

 「テロや不審船など新たな脅威についても十分に対応できるようにする必要がある。政府案は、基本的人権の尊重、民主的統制のあり方、自治体との関係、国民の生命・財産の安全の確保、国民の損害への補償、米軍の活動との調整などの観点から、検討すべき課題が山積している「。

 ※自由党(藤井裕久幹事長)

 「遅きに失したものと言わざるを得ない。政府案は旧世紀の古い戦争概念にとらわれ、冷戦後の安全保障環境を踏まえておらず、時代遅れのものとなっている。国家の根幹にかかわる安全保障の原則、自衛隊の行動の原則を明確にしていないのは、有事法制の名に値しない」。

 ※共産党

 「憲法9条を蹂躙(じゅうりん)し、人権や自由、議会制民主主義など憲法の諸原則を踏みにじる『戦争国家法案』だ。戦争協力が国民の義務だと明記し、米国の無法な戦争に協力するために日本国民を総動員するためのものだ。日本を戦争優先の国家にしてしまうたくらみで絶対に許せない」。

 ※社民党(福島瑞穂幹事長)

 「有事に名を借りた戦時法制は憲法9条から完全に逸脱し、基本的人権に大きく制限を加えるものだ。有事の概念はとめどもなく拡大され、米国が起こした軍事行動までもが対象となりかねない。代執行権を行使できるよう首相に強制力を付与したのは、地方自治の本旨に反する」。

 

☆ 「少なくとも地方自治体が一定の責任を負い、地域住民の生活や経済に影響を与える可能性がある法案だ。国として国民的な議論をした上で決めるべきだ」「地方自治体、住民に対する説明責任を国がきちんと果たしているのか疑問だ」(太田房江大阪府知事の4月16日の定例記者会見で、閣議決定された有事法制についてと述べた一節。

 

 「冷戦時代の攻撃を想定し、極めて時代遅れだ」「古文書が宝物として見つかったかのように提案された「一国の首相が、『すべての有事に対応できる』などとおっしゃるに至っては噴飯もの(ふんぱん=おかしさにこらえきれず、食べかけていた飯粒を吹き出す意味。ばかばかしくて、思わずふき出して笑うこと)以外の何物でもない」「国と都道府県の関係を踏みにじろうとしている」「阪神大震災や地下鉄サリン事件など日本が経験した真の有事については、いまだ議論すらない」「個人としても知事としても同じ思いの多くの人と行動を起こしていきたい」==⇒国会に提出された有事法制関連3法案について法案阻止に向けた行動を呼びかけた長野県の田中康夫知事の4月18日の定例会見での一節。

 

02年5月27日、5月23日の4野党党首会談の合意を踏まえて民主党の鳩山由紀夫代表、自由党の小沢一郎党首、日本共産党の志位和夫委員長、社民党の土井たか子党首の野党4党首が東京・有楽町で街頭演説をした。

 鳩山代表==⇒「徹底的に審議が必要だ。国民の理解をえて、進めていくようにすべきだ」。

小沢党首==⇒「なんの論理的、合理的な説明もできていない」。

志位委員長=⇒(公聴会日程の単独議決は)「許すことのできない議会制民主主義のルール破り」。

土井党首==⇒「徹底審議が大事だ」。

 

共同通信社による有事法案アンケート(02年5月24日までの約1週間で実施、福岡、長崎両知事を除く45人が回答)

==大半の知事『慎重審議を』==

(北川正恭三重県知事、東京都石原慎太郎知事ら)8人が法案に賛成

(田中康夫長野県知事と高知県の橋本大二郎知事ら)2人が反対

34人が「どちらとも言えない」(1人は賛否の選択肢に答えなかった)。

 

 地方自治体に戦争協力の「責務」を負わせ、地方自治体を首相の指示・執行権のもとにおく有事関連3法案に対する、自治体首長や議会から反対意見。

★ 徳島県知事選で当選した大田正氏==⇒「紛争を想定し、自治体に協力を求める法案はいかがなものか」「米軍が戦争を仕掛け、その傘下に入るような政府の考え方には、他国のために国民が動員され、自治体が使われる可能性がある」(4月29日)。

★ 高知県橋本大二郎知事==⇒「『事態』の定義があいまいだ」「緊急性はない」。

★ 沖縄県平良市の伊志嶺亮市長==⇒「市民の生命と財産を保護すべき市長として到底納得できない」。

※ 岡山県石井正弘知事==⇒「どういう『事態』を想定しているのか明確でなく、十分な議論が必要」。

※ 神奈川県秦野市二宮忠夫市長==⇒「(法案には)不明な点も多く、説明もないまま進められるのは困る」。

※ 沖縄県==⇒翁長正貞西原町長をはじめ13自治体首長が「再び戦争への道を開くことになる」。

※ 東京都小金井市==⇒「最大の備えは憲法に基づき、平和で平等な国際社会をつくるために努力することである」と反対の意見書を採択(3月23日)。

 

※ 岩手県北上市議会==⇒「地方自治体及び住民の基本的権利に抵触し、自治体職員や民間人の企業活動に深く関わらざるを得ない」(3月19日)。

 

 

「『戦争できる普通の国家』へまた一歩踏み出した」(4月17日付『朝鮮日報』早版)「日本の武力使用の可能性がさらに大きくなり、憲法改定と集団的自衛権確保への道を開くと憂慮される」(同日付『東亜日報』東京発)==有事法制関連3法案について、韓国メディアの反応。

 

日本ペンクラブ「有事法制」法案に対する声明

 小泉内閣は4月17日いわゆる「有事法制」の三法案を、会期の半ばをすぎた国会に提出し、小泉首相は今国会での成立をめざす旨を言明した。
 その唐突さに驚かされるが、何よりも重大な問題点はこの三法案が言論表現の自由や国民の人権福祉に悪影響を及ぼす危険性を有することである。そのことは、日本弁護士連合会の4月20日付理事会決議によってすでに指摘されているが、日本ペンクラブはこれら「有事法制」三法案およびいわゆる「メディア規制」三法案が、民主主義の基本理念を脅かす恐れのあることについて、あらためて強い懸念を表明する。これらの法案は「平和と独立」「国民の安全確保」の名目で政府の方針に反対するものを処罰しようとするものであり、このように重要な法案が、国民の審判を受けずに内閣によって提案されること自体、議会制民主主義の危機といわざるを得ない。

 日本ペンクラブは創立以来、言論の自由を守るために最大限の努力をしてきたが、1938年に国家総動員法が成立したあとでは、その活動を停止せざるを得なかった。過去のこうした歴史の教訓から、我々は、言論の自由のない社会を再現してはならないと考える。

 小泉内閣があくまでもこれらの法案を成立させようとするのであれば、「いつかきた道」に似て新しい戦時体制へ国民を駆り立てようとしている、と断言してよいであろう。文筆家のみならず多くの人びとに関心をもってくださるようお願いする。 

2002424
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛

 

日本への武力攻撃に対処する有事関連法案について、全国の都道府県知事のうち、41人が政府のこれまでの説明は不十分だと回答(NHK調査==2県を除く45人の知事から回答=02年5月9日オンエア)

 

野中広務・元幹事長は、有事関連3法案を審議している衆院武力攻撃事態対処特別委員会が野党欠席のまま中央公聴会の日程を決めたことについて、「こういう重要法案を単独でやるのがいいのか」「(小泉首相や関係閣僚の答弁が)一致していない。(防衛庁所管の)第1分類だけ先行したので、そごをきたしている」と述べ、法整備の手順に問題があったとの認識を示し、橋本元首相も「あまりにも急いでやりすぎており、不安だ」と同調した(自民党橋本派の02年5月22日の運営幹事会で=02年5月23日付『読売新聞』)

 

国会での論戦(02年5月20日;衆院有事法制特別委員会)

日本共産党・木島日出夫議員==⇒「『武力攻撃事態法案』にもとづく米軍への物品、施設、役務の提供はどの段階でできるのか」

福田康夫官房長官==⇒「武力攻撃発生以前の段階で、米軍が必要な準備行動をとる場合には(提供)できる」

 木島議員==⇒「米軍に提供する物品に『武器・弾薬も含むのか』」

中谷元・防衛庁長官==⇒(「周辺事態法」や「テロ対策特別措置法」で米軍への武器・弾薬の提供が除外されていることについて)「憲法上できないからではない」「相手側のニーズもあるので検討していく」

(02年5月21日付『しんぶん赤旗』)

 

国会での論戦(02年5月9日;衆院有事法制特別委員会)

 

民主党・枝野幸男政調会長代理==⇒(自衛隊法改正案に関して)「工事する場合、道路管理者や、港湾管理者に事前通知が必要となっているが、有事の際にそんな余裕があるのか。そもそも管理者を探している間に殺されてしまう」。

中谷防衛庁長官==⇒「携帯電話などを利用し速やかに連絡、通知できるようにする」。

枝野氏==⇒「但し書きで、事後通知を認めるべきだ」。

中谷長官==⇒「乱暴な提案。どうぞ対案を出してください」。
枝野氏==⇒(自衛隊法88条に関連して)「違法阻却の規定がある。88条は不十分ながら有事法制なのではないか。88条を具体化させ、戦争犯罪が起きないようにするのが有事立法ではないか」(具体的に)「橋やビルをあらかじめ軍事上の作戦で壊す場合の根拠は何か」。

中谷長官==⇒「88条」。

枝野氏==⇒「それなら88条で、今回の法案が通らなくても何でもできることになる」。
枝野氏==⇒(今回の改正によって、対処方針を閣議で決定しないと首相の防衛出動命令が出せなくなることに関連して)「1分1秒でも早く防衛出動命令を出せるようにするのが、有事法制ではないか」。

中谷長官==⇒「速やかにできるようマニュアルをつくる」。

枝野氏==⇒(防衛庁職員による会計検査院の公文書偽造・同行使に関連して)「公務員には告発義務がある。どうして告発しないのか。処分しないのか」。

中谷長官==⇒「お詫びする。職員は厳しく注意した」。

枝野氏==⇒「このような順法精神の持ち主が責任者では有事法制は任せられない」(長官の罷免を要求)。

民主党・渡辺周氏==⇒(武力攻撃事態法案のなかの「指定公共機関」に民放が含まれることに関連して)「新聞社もインターネットで瞬時に配信している。新聞に関しても何らかの報道の自主規制を求めざるを得ないのではないか」。

福田康夫官房長官==⇒「(インターネットなど)新しい伝達手段を使って任に当たることは当然考えられる」(新聞社や通信社も指定公共機関の対象になることを明言した)。

 

民主党・桑原豊氏==⇒(憲法が保障している「国民の自由と権利」に「制限が加えられる場合」があると明記していることに関連して)「精神的自由は権利制限してはならないのではない」と思うが、「戦争反対の集会や示威行動にどう対応するのか」。

福田官房長官==⇒(憲法第13条をあげ)「公共の福祉に反しない限りという意味において、集会や報道の自由は権利として確保されている。あくまでも『公共の福祉』に反しない限りということだ」(「公共の福祉」を理由に、集会や報道の自由などの制約もありうるとの考えを示したことを意味が、これまで政府は「自由と権利」を制限する具体的内容は、今後整備する個別法〔私権制限法〕で定めるとしていたことから、言論・集会の自由まで対象だとのべたのは初めてとなる)。

 

国会での論戦(02年5月9日;衆院有事法制特別委員会)

与野党とも、国民・地方自治体による協力や有事の定義の具体的な説明を求めたが、政府は「今後検討」を繰り返すばかりで具体像は闇の中==⇒「これではあまり信用できない。法案に賛成するのをやめようかという気さえ起きる」(与党・公明党の赤松正雄氏)

 

与党・保守党政調会長の井上喜一氏==⇒国民による協力の例示は。

福田康夫官房長官==⇒「今後、個別法制で定める」。

 井上喜一氏==⇒地方自治体と指定公共機関の役割の具体例は。

福田官房長官==⇒「被災者の搬送」「自治体への協力」、ほかは「今後検討」。

 井上喜一氏==⇒米軍支援の具体例は。

川口順子外相==⇒「物品、役務、施設の提供・米軍の緊急通行」、あとは「日米安保条約の目的および憲法の範囲内で、国際法に従い検討する」。

 与党・公明党の赤松正雄氏==⇒武力攻撃事態の定義が分かりづらい。具体例は。

福田官房長官==⇒「(具体例を示すのは)いつとは言えない。できるだけ早く」。 

 

国会での論戦(02年5月8日;衆院有事法制特別委員会)==⇒詳細は

 

共産党・木島日出夫氏==⇒有事法制が発動される「武力攻撃」に他国領域で活動する自衛隊部隊への攻撃が含まれるのか。

福田官房長官==⇒計画的、組織的な攻撃と認定されるかが問題。(認定されれば)そうなる」(これまでインド洋など公海上の自衛隊艦船への攻撃が「武力攻撃事態」に含まれることは認めていたが、PKO〔国連平和維持活動〕や報復戦争参加法〔テロ対策特措法〕にもとづき他国領域で活動する自衛隊部隊への攻撃まで「武力攻撃」に該当すると政府が認めたのはこれが初めて)。

 木島日出夫氏==⇒在外公館への攻撃は。

福田官房長官==⇒「基本的には入らない」が「諸般の状況」によっては「武力攻撃に該当する」。

 木島日出夫氏==⇒「武力攻撃」の意味について、「武力攻撃のおそれ」を含むか否か。

福田官房長官==⇒武力攻撃という用語には「おそれのある場合」が「含まれない」が、「部隊等の展開その他の行動」部分にかかるときは、「『おそれ』『予測』事態が含まれる」。

 

 

国会での論戦(02年5月7日;衆院有事法制特別委員会)

(1)自衛隊の「武力の行使」について

※共産党志位委員長==⇒「武力攻撃事態法案」は「武力攻撃事態」を武力攻撃が「発生した事態」、「おそれのある場合」、「予測される事態」の三ケースを包括した規定とし、そうした事態への「対処措置」として「自衛隊の武力の行使」を規定しているが、三ケースすべてで「武力の行使」をすることになるのか。

 ★小泉純一郎首相==⇒「『予測』段階では武力の行使はしようがない」「『おそれ』の場合、武力攻撃の必要はない」「おそれ」と「予測」のケースでは「武力の行使」はしない。

※志位委員長==⇒その根拠となる法案の明文規定があるのか。

★中谷元・防衛庁長官は==⇒「(同法案に)書かれていない」。

 ※志位委員長==⇒「武力の行使」の要件について、従来政府が先制攻撃をしないことの保障としてきた「国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守(じゅんしゅ)し」という自衛隊法88条2項の規定が、「武力攻撃事態法案」で欠落している理由は。

★中谷長官、福田康夫官房長官、津野修内閣法制局長官==⇒「基本理念は法案でのべている」。

 

(2)強制力をもった日本国民の動員について

※志位委員長==⇒「取扱物資の保管命令」に従わなかった国民に罰則が科されることについて、「戦争に協力できないという信念で『保管命令』を拒否した国民を犯罪者として罰することは、戦争への非協力、戦争への反対という『思想・良心』を処罰の対象にすることではないか。『思想・良心の自由』にはみずからの信条を『沈黙する自由』もふくまれるが、これを侵害することになるのではないか」。

★政府==⇒答弁なし。

 ※志位委員長==⇒法案が、個別の法律をつくれば、憲法で保障された国民の自由と権利に制限が加えられる仕組みになっているが、どこまで制限するのかが法案で規定されているか。

 福田長官==⇒法案にある「武力攻撃事態に対処するため必要最小限」という規定以外にはない。

※志位委員長==⇒「『必要最小限』は何の歯止めにもならない」「個別法で国民の権利と自由が無制限に制限されることになれば、大日本帝国憲法と変わらなくなる」が。

★政府==⇒答弁なし。

 

自衛隊法第88条(防衛出動次の武力行使)

@ 第76条第1項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。
A 前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。

 

☆ 民主党の鳩山由紀夫代表は5月8日の記者会見==⇒「あまりにひどい法案だ。出直して来いと言うしかない」「有事の定義も分からないまま、修正の議論には当然、応じられない」==法案に反対、修正協議も拒否する意向を示した。

 

有事関連3法案のポイント

 

「武力攻撃事態」

「日本に対する武力攻撃」と定義した上で、武力攻撃の「おそれ」がある場合、「予測される」場合も含む。また「周辺事態法」と重複==⇒アメリカの戦争を含む

国会の承認は事後に

「対処基本方針」については、閣議決定後、直ちに国会に承認を求めなければならない」としているが、同時に「対処措置の実施前に対処基本方針の国会承認を得ることは必要としない」として、国会の承認がなくても、「対処措置」を実施できるようになる(国会の関与の事実上排除)

基本的人権の制約

包括法案の基本理念のなかで、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利…に制限が加えられる場合」があることを明記

責務の明確化

組織及び機能のすべてを挙げて、武力攻撃事態に対処する」ことを「国の責務」にするほか。地方自治体、NHK等の指定公共機関及び国民の戦争協力の責務を明記

首相に権限集中

(非常大権)

「自衛隊の最高の指揮監督権を有する」(自衛隊法第7条)首相に戦争を遂行の権限を付与して、国をあげて戦争をする総力体制をつくる

「対策本部」を置き、首相が本部長に就任。「国権の最高機関」である国会を排除し、首相が地方自治体、指定公共機関に指示または自ら執行。

「武力攻撃事態」の認定を含む戦争方針(対処基本方針)を自ら議長を務める安全保障会議に諮問⇒その答申をうけ、今度は自ら主宰する閣議で決定⇒その方針を実施する対策本部の本部長も首相(独裁的権限を首相に与える)。

罰則規定

物資の保管命令違反に6カ月以下の懲役・30万円罰金刑。物資の「隠匿」「毀棄(きき)」が疑われる場合や、土地の強制使用の際に、自衛隊の立入検査を拒否したり、妨害したりした場合20万円以下の罰金

 

注;

1.非常大権==ひじょう・たいけん=旧憲法下の天皇の大権の一。国家の非常時に際して、国民の権利保障の条項を停止しうる権能。

2.国連平和維持活動(PKO)協力法では、国連平和維持軍(PKF)の本体業務については国会承認が必要とされ、日米防衛指針に基づく周辺事態法でも自衛隊の対応措置に関する国会承認が義務づけられた。また01年に制定されたテロ対策支援法には事後承認を必要とする規定が盛り込まれている。

3.02年4月6日に判明した法案全文では安全保障会議の正式メンバーに、総務、経済産業、国土交通の3閣僚を加え、経済財政担当相を外している。これにより同会議は首相や外相、防衛庁長官ら計8閣僚で構成されることになる。

 

有事関連3法案における首相の権限

 

1.有事立法発動を判断、決定する権限。

 2.「最高の指揮官」として、自衛隊に出動命令を発する権限。

 3.国の行政機関はもちろん、地方自治体やNHK、赤十字、NTTなどの「指定公共機関」まで統制下におく権限(「武力攻撃事態法案」では、地方自治体や指定公共機関に戦争方針の実施を「指示」。「指示」にもとづく措置が行われない場合、あるいは緊急の場合は、首相自ら、または閣僚を指揮監督して実施させる(なお、首相が地方自治体や指定公共機関に対して、直接実施する権限まで与えているのは災害の場合にもない)。

 4.自衛隊の「防衛出動」も「特に緊急の必要がある場合には、承認を得ないでこれを命ずることができる」権限。

 

有事立法は、マスコミや医療、通信、運輸、電力、ガスなど国民生活の基盤にかかわるあらゆる分野が首相の統制下におき(国民生活のすべて統制下におき)、かつ権限が首相に集中させて、国会の承認がなくても思い通りに戦争遂行できる体制(仕組み)の確立を意図している。

 

有事関連3法案概要のキーワード

 

1.武力攻撃の「おそれ」と「予測」(政府判断)。

2.国民の「自由と権利」全面的な制限。

3.首相に非常大権を付与(首相独裁体制の確立)。

4.国民生活の統制。

5.メディア規制(政府発表のたれ流しに==大本営発表の再来)。

 

小泉首相は「自民党をぶっ壊す」といって売り出しながら、実際は自民党腐敗政治を温存し、従来の自民党政権がいってきたのと同じ口実で、これまで自民党が果たせなかった戦争遂行政策(憲法改正)の実現を、公明党や保守党を巻き込んで、世界の超超大国・アメリカの意向を背景に実行しようとしている。

 

有事関連3法案概要の背景

 

1.アメリカ追従政策=有事立法が急浮上した契機(きっかけ)は、リチャード・アーミテージ現米国務副長官らがつくった「日本が集団的自衛権を禁止していることが、同盟関係の足かせになっている」との前提から「有事立法の制定を含む米日軍事協力の新指針(ガイドライン)の勤勉な履行」求めた「米国防大学国家戦略研究所(INSS)特別報告」(『合衆国と日本―成熟したパートナーシップに向けて』−2000年10月11日)である。

2.自民党政府は、1970年代から有事立法の立案をくり返してきたが、そのつど国民に阻まれた。そうした積年の自民党の願望を小泉首相のリーダーシップで実現しようしている(なお、1960年代に自衛隊が「三矢研究」を行い大問題となったが、そこには国家非常事態において77〜78件の法律を制定すると記されており、その内容は国家総動員法の下で施行された法律を模倣している)。

3.長引く不況・リストラ・痛みの増大等の現代日本の閉塞状況から、国民の関心を別の局面に向けさせる。テロや不審船問題を口実にいたずらに不安をあおり、(ありもしない)「どこかの国が攻めてくる」「備えあれば憂いなし」といった単純なキーワードを駆使して、問題を矮小化し、国民の目をごまかしている。

 

有事関連3法案概要の意味するもの

 

1.戦争をしないことを明記した日本国憲法の完全否定(特攻賛美・靖国参拝等に見られる小泉首相の憲法無視政策の総決算)。

2.アメリカの戦争の支援法(周辺事態法と重複)。米国が戦争を起こしたときに「備え」、「憂い」(躊躇〔ちゅうちょ〕) なく戦争に参加するための体制作り(アメリカの戦争に参加するため、国家と国民をあげて戦時体制を確立)==これまで自民党政権は違憲として否定してきた集団的自衛権の事実上・なし崩し的容認。

3.「国権の最高機関」である国民が選出した代表者で構成される国会の関与の事実上の排除。 

4.戦前への回帰(戦争協力を拒否した者を“犯罪者”扱いする)国家総動員(1938〔昭和13〕年〕下での非国民体制の復活・戦時体制の確立==⇒行き着く先は、大政翼賛会体制。それはいつかきた道、軍事大国への道。

5.憲法改正・徴兵制への布石(自民党は憲法改正を党是〔党の基本方針〕としている)。

 

憲法を「停止」して、米国の戦争に国民を根こそぎ動員

 

1.現在の日本の安全保障環境は、戦時・戦争法を必要とするような状況ではない。冷戦が終わった後、日本周辺は以前にも増して平和である。決して、戦争が起こる状況ではない。

2.日本国憲法の基本理念憲法前文第9条は、戦争に備えるのではなくして、戦争をなくし、戦争をなくそうとするものである。したがって現憲法の下で、戦争法である有事立法が成立する余地はない。仮に有事立法を作るのであれば、その前の憲法を改正しなければならない。
 3.かつて日本が侵略したアジア諸国の警戒心をいたずらに高め、アジア諸国間の国際協調の流れを阻害し、かえって新たな緊張関係を生み、戦争への抑止力が弱まる。

4.小泉首相等政府・与党の国会議員らは、憲法99条の憲法遵守義務を再確認し、国の基本法に沿って政治を行わなければならない。

5.われわれは、ここでもう一度、戦争からは何も生まれない(惨憺〔さんたん〕たる状況しか生まない)という歴史を学ぶ必要がある。

 

小泉内閣が今やるべき課題は、有事立法ではなく、経済対策や腐敗した政治の刷新、少子高齢化社会に対応するシステム作り等、国民が安心して暮らせる社会の構築である。

 

武力攻撃事態法案の内容=戦争総力体制の確立

 

1.国会を排除し、政府(首相)が有事立法発動の「武力攻撃事態」の認定(認定は、安保会議に設ける「事態対処専門委員会」であるが、そのメンバーは内閣官房職員などから任命される。なお、現行安保会議の事務を担う内閣官房職員の多くは外務省と防衛庁からの出向者。つまり米国の意向を受けた外務省と日米共同軍事作戦を担う自衛隊が、戦争遂行を国家の最優先課題とする「戦時」体制突入の判断を、事実上握ることになる)。

2.「表現の自由・集会の権利・通信秘密…ストライキ権の一部を制限。

3.業務従事命令や物資保管命令などの強制措置のほか、戦時における国民の統制に対応する包括的な規定をおく==⇒思想・良心の自由(戦争協力の拒否)、戦争協力が国民の「努力」義務。

4.国民統制の整備項目には「警報の発令、避難の指示」「保健衛生の確保及び社会秩序の維持に関する措置」「輸送及び通信に関する措置」「国民の生活の安定に関する措置」などが並んでいる。それは、「社会秩序の維持」の名目による国民の行動の規制や、通信の秘密の制限、生産調整や配給などに連動。

5.(包括法の)物資保管命令違反は6カ月以下の懲役刑・30万円以下の罰金。

6.自衛隊の立入検査を拒否したり、妨害したりした場合20万円以下の罰金。

7.医療、土木・建築、輸送関係者などに業務従事命令(自衛隊法)。

8.財産権 土地、家屋、物資の収用(取りあげて、使用すること)(自衛隊法103条)。 

9.言論・出版・集会など表現の自由 「社会秩序の維持」を口実に治安対策が可能(包括法、個別法)。

10.「防衛秘密」漏えい・教唆も罪に(自衛隊法)。

11.移転・移動の自由 「住民の避難」を口実に住民を統制、移動・移転を制限(包括法、個別法)。

12.自衛隊の「展開予定地域」設定。立ち入り制限、禁止、退去命令も可能。

13.通信の秘密 「通信に関する措置」で通信統制(包括法、個別法)。

 

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