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民 事 保 全 法 |
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1989年(平成1)年に制定された、総則(第1章)、民事保全の命令を発令する保全命令の手続(第2章)、保全命令の執行に関する保全執行の手続(第3章)、仮処分の効力(第4章)から構成されている民事訴訟の本案(訴訟において、請求の主目的ないしは中心をなす事項)の権利の実現を保全するための仮差押命令・仮処分命令の保全命令と執行手続である保全執行について定めた法律。 婚姻・養子縁組・親子関係など人の基本的身分関係の確定や形成を目的とする民事訴訟である人事訴訟を含む |
1988(平成元)・12・22・法律 91号
最終改正2003(平成15)・ 8・ 1・法律138号
施行2004(平成16)・ 3・ 1
第1章 総則
第1条(趣旨)
民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための仮差押え及び係争物に関する仮処分並びに民事訴訟の本案の権利関係につき仮の地位を定めるための仮処分(以下「民事保全」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
第2条(民事保全の機関及び保全執行裁判所)
@ 民事保全の命令(以下「保全命令」という。)は、申立てにより、裁判所が行う。
A 民事保全の執行(以下「保全執行」という。)は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。
B 裁判所が行う保全執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもって、執行官が行う保全執行の執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもって保全執行裁判所とする。
第3条(任意的口頭弁論)
民事保全の手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
第4条(担保の提供)
@ この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は担保を立てるべきことを命じた裁判所が相当と認める有価証券を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
A 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第77条、第79条及び第80条の規定は、前項の担保について準用する。
第5条(事件の記録の閲覧等)
保全命令に関する手続又は保全執行に関し裁判所が行う手続について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。ただし、債権者以外の者にあっては、保全命令の申立てに関し口頭弁論若しくは債務者を呼び出す審尋の期日の指定があり、又は債務者に対する保全命令の送達があるまでの間は、この限りでない。
第6条(専属管轄)
この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
第7条(民事訴訟法の準用)
特別の定めがある場合を除き、民事保全の手続に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。
第8条(最高裁判所規則)
この法律に定めるもののほか、民事保全の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第2章 保全命令に関する手続
第1節 総 則
第9条(釈明処分の特例)
裁判所は、争いに係る事実関係に関し、当事者の主張を明瞭にさせる必要があるときは、口頭弁論又は審尋の期日において、当事者のため事務を処理し、又は補助する者で、裁判所が相当と認めるものに陳述をさせることができる。
第10条及び第11条 削除
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第2章 保全命令に関する手続 |
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第12条(管轄裁判所)
@ 保全命令事件は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
A 本案の管轄裁判所は、第一審裁判所とする。ただし、本案が控訴審に係属するときは、控訴裁判所とする。
B 仮に差し押さえるべき物又は係争物が債権(民事執行法(昭和54年法律第4号)第143条に規定する債権をいう。以下この条において同じ。)であるときは、その債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶(同法第112条に規定する船舶をいう。以下同じ。)又は動産(同法第122条に規定する動産をいう。以下同じ。)の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
C 前項本文の規定は、仮に差し押さえるべき物又は係争物が民事執行法第167条第1項に規定する財産権(以下「その他の財産権」という。)で第三債務者又はこれに準ずる者があるものである場合(次項に規定する場合を除く。)について準用する。
D 仮に差し押さえるべき物又は係争物がその他の財産権で権利の移転について登記又は登録を要するものであるときは、その財産権は、その登記又は登録の地にあるものとする。
第13条(申立て及び疎明)
@ 保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
A 保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。
第14条(保全命令の担保)
@ 保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる。
A 前項の担保を立てる場合において、遅滞なく第4条第1項の供託所に供託することが困難な事由があるときは、裁判所の許可を得て、債権者の住所地又は事務所の所在地その他裁判所が相当と認める地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。
第15条(裁判長の権限)
保全命令は、急迫の事情があるときに限り、裁判長が発することができる。
第16条(決定の理由)
保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。ただし、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる。
第17条(送達)
保全命令は、当事者に送達しなければならない。
第18条(保全命令の申立ての取下げ)
保全命令の申立てを取り下げるには、保全異議又は保全取消しの申立てがあった後においても、債務者の同意を得ることを要しない。
第19条(却下の裁判に対する即時抗告)
@ 保全命令の申立てを却下する裁判に対しては、債権者は、告知を受けた日から2週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。
A 前項の即時抗告を却下する裁判に対しては、更に抗告をすることができない。
B 第16条本文の規定は、第1項の即時抗告についての決定について準用する。
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第2章 保全命令に関する手続 |
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第20条(仮差押命令の必要性)
@ 仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
A 仮差押命令は、前項の債権が条件付又は期限付である場合においても、これを発することができる。
第21条(仮差押命令の対象)
仮差押命令は、特定の物について発しなければならない。ただし、動産の仮差押命令は、目的物を特定しないで発することができる。
第22条(仮差押解放金)
@ 仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。
A 前項の金銭の供託は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
第23条(仮処分命令の必要性等)
@ 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
A 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
B 第20条第2項の規定は、仮処分命令について準用する。
C 第2項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。
ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
第24条(仮処分の方法)
裁判所は、仮処分命令の申立ての目的を達するため、債務者に対し一定の行為を命じ、若しくは禁止し、若しくは給付を命じ、又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができる。
第25条(処分解放金)
@ 裁判所は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り、債権者の意見を聴いて、仮処分の執行の停止を得るため、又は既にした仮処分の執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令において定めることができる。
A 第22条2項の規定は、前項の金銭の供託について準用する。
第26条(保全異議の申立て)
保全命令に対しては、債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができる。
第27条(保全執行の停止の裁判等)
@ 保全異議の申立てがあった場合において、保全命令の取消しの原因となることが明らかな事情及び保全執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときに限り、裁判所は、申立てにより、保全異議の申立てについての決定において第3項の規定による裁判をするまでの間、担保を立てさせて、又は担保を立てることを条件として保全執行の停止又は既にした執行処分の取消しを命ずることができる。
A 抗告裁判所が保全命令を発した場合において、事件の記録が原裁判所に有するときは、その裁判所も、前項の規定による裁判をすることができる。
B 裁判所は、保全異議の申立てについての決定において、既にした第1項の規定による裁判を取り消し、変更し、又は認可しなければならない。
C 第1項及び前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
D 第15条の規定は、第1項の規定による裁判について準用する。
第28条(事件の移送)
裁判所は、当事者、尋問を受けるべき証人及び審尋を受けるべき参考人の住所その他の事情を考慮して、保全異議事件につき著しい遅滞を避け、又は当事者間の衝平を図るために必要があるときは、申立てにより又は職権で、当該保全命令事件につき管轄権を有する他の裁判所に事件を移送することができる。
第29条(保全異議の審理)
裁判所は、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、保全異議の申立てについての決定をすることができない。
第30条 削除
第31条(審理の終結)
裁判所は、審理を終結するには、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を決定しなければならない。
ただし、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。
@ 裁判所は、保全異議の申立てについての決定においては、保全命令を認可し、変更し、又は取り消さなければならない。
A 裁判所は、前項の決定において、相当と認める一定の期間内に債権者が担保を立てること又は第14条第1項の規定による担保の額を増加した上、相当と認める一定の期間内に債権者がその増加額につき担保を立てることを保全執行の実施又は続行の条件とする旨を定めることができる。
B 裁判所は、第1項の規定による保全命令を取り消す決定について、債務者が担保を立てることを条件とすることができる。
C 第16条本文及び第17条の規定は、第1項の決定について準用する。
第33条(原状回復の裁判)
仮処分命令に基づき、債権者が物の引渡し若しくは明渡し若しくは金銭の支払を受け、又は物の使用若しくは保管をしているときは、裁判所は、債務者の申立てにより、前条第1項の規定により仮処分命令を取り消す決定において、債権者に対し、債務者が引き渡し、若しくは明け渡した物の返還、債務者が支払った金銭の返還又は債権者が使用若しくは保管をしている物の返還を命ずることができる。
第34条(保全命令を取り消す決定の効力)
裁判所は、第32条第1項の規定により保全命令を取り消す決定において、その送達を受けた日から2週間を超えない範囲内で相当と認める一定の期間を経過しなければその決定の効力が生じない旨を宣言することができる。ただし、その決定に対して保全抗告をすることができないときは、この限りでない。
第35条(保全異議の申立ての取下げ)
保全異議の申立てを取り下げるには、債権者の同意を得ることを要しない。
第36条(判事補の権限の特例)
保全異議の申立てについての裁判は、判事補が単独ですることができない。
@ 保全命令を発した裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、相当と認める一定の期間内に、本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出し、既に本案の訴えを提起しているときはその係属を証する書面を提出すべきことを命じなければならない。
A 前項の期間は、2週間以上でなければならない。
B 債権者が第1項の規定により定められた期間内に同項の書面を提出しなかったときは、裁判所は、債務者の申立てにより、保全命令を取り消さなければならない。
C 第1項の書面が提出された後に、同項の本案の訴えが取り下げられ、又は却下された場合には、その書面を提出しなかったものとみなす。
D 第1項及び第3項の規定の適用については、本案が家事審判法(昭和22年法律第152号)第18条第1項に規定する事件であるときは家庭裁判所に対する調停の申立てを、本案に関し仲裁契約があるときは仲裁手続の開始の手続を、本案が公害紛争処理法(昭和45年法律第108号)第2条に規定する公害に係る被害についての損害賠償の請求に関する事件であるときは同法第42条の12第1項に規定する損害賠償の責任に関する裁定(次項において「責任裁定」という。)の申請を本案の訴えの提起とみなす。
E 前項の調停の事件、同項の仲裁手続又は同項の責任裁定の手続が調停の成立、仲裁判断又は責任裁定(公害紛争処理法第42条の一24第2項の当事者間の合意の成立を含む。)によらないで終了したときは、債権者は、その終了の日から第1項の規定により定められた期間と同一の期間内に本案の訴えを提起しなければならない。
F 第3項の規定は債権者が前項の規定による本案の訴えの提起をしなかった場合について、第4項の規定は前項の本案の訴えが提起された後にその訴えが取り下げられ、又は却下された場合について準用する。
G 第16条本文及び第17条の規定は、第3項(前項において準用する場合を含む。)の規定による決定について準用する。
@ 保全すべき権利若しくは権利関係又は保全の必要性の消滅その他の事情の変更があるときは、保全命令を発した裁判所又は本案の裁判所は、債務者の申立てにより、保全命令を取り消すことが
A 前項の事情の変更は、疎明しなければならない。
B 第16条本文、第17条並びに第32条第2項及び第3項の規定は、第1項の申立てについての決定について準用する。
第39条(特別の事情による保全取消し)
@ 仮処分命令により償うことができない損害を生ずるおそれがあるときその他の特別の事情があるときは、仮処分命令を発した裁判所又は本案の裁判所は、債務者の申立てにより、担保を立てることを条件として仮処分命令を取り消すことができる。
A 前項の特別の事情は、疎明しなければならない。
B 第16条本文及び第17条の規定は、第1項の申立てについての決定について準用する。
第40条(保全異議の規定の準用等)
@ 第27条から第29条まで、第31条及び第33条から第36条までの規定は、保全取消しに関する裁判について準用する。
ただし、第27条から第29条まで、第31条、第33条、第34条及び第36条の規定は、第37条第1項の規定による裁判については、この限りでない。
A 前項において準用する第27条第1項の規定による裁判は、保全取消しの申立てが保全命令を発した裁判所以外の本案の裁判所にされた場合において、事件の記録が保全命令を発した裁判所に存するときは、その裁判所も、これをすることができる。
第41条(保全抗告)
@ 保全異議又は保全取消しの申立てについての裁判(第33条(前条第1項において準用する場合を含む。)の規定による裁判を含む。)に対しては、その送達を受けた日から2週間の不変期間内に、保全抗告をすることができる。ただし、抗告裁判所が発した保全命令に対する保全異議の申立てについての裁判に対しては、この限りでない。
A 原裁判所は、保全抗告を受けた場合には、保全抗告の理由の有無につき判断しないで、事件を抗告裁判所に送付しなければならない。
B 保全抗告についての裁判に対しては、更に抗告をすることができない。
C 第16条本文、第17条並びに第32条第2項及び第3項の規定は保全抗告についての決定について、第27条第1項、第4項及び第5項、第29条、第31条並びに第33条の規定は保全抗告に関する裁判について、民事訴訟法第349条の規定は保全抗告をすることができる裁判が確定した場合について準用する。
D 前項において準用する第27条第1項の規定による裁判は、事件の記録が原裁判所に存するときは、その裁判所も、これをすることができる。
@ 保全命令を取り消す決定に対して保全抗告があった場合において、原決定の取消しの原因となることが明らかな事情及びその命令の取消しにより償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときに限り、抗告裁判所は、申立てにより、保全抗告についての裁判をするまでの間、担保を立てさせて、又は担保を立てることを条件として保全命令を取り消す決定の効力の停止を命ずることができる。
A 第15条、第27条第4項及び前条第5項の規定は、前項の規定による裁判について準用する。
第52条(仮処分の執行)
@ 仮処分の執行については、この節に定めるもののほか、仮差押えの執行又は強制執行の例による。
A 物の給付その他の作為又は不作為を命ずる仮処分の執行については、仮処分命令を債務名義とみなす。
第53条(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)
@ 不動産に関する権利についての登記(仮登記を除く。)を請求する権利(以下「登記請求権」という。)を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。
A 不動産に関する所有権以外の権利の保存、設定又は変更についての登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、前項の処分禁止の登記とともに、仮処分による仮登記(以下「保全仮登記」という。)をする方法により行う。
B 第47条第2項及び第3項並びに民事執行法第48条第2項、第53条及び第54条の規定は、前2項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。
第54条(不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)
前条の規定は、不動産に関する権利以外の権利で、その処分の制限につき登記又は登録を対抗要件又は効力発生要件とするものについての登記(仮登記を除く。)又は登録(仮登録を除く。)を請求する権利を保全するための処分禁止の仮処分の執行について準用する。
第55条(建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の執行)
@ 建物の収去及びその敷地の明渡しの請求権を保全するため、その建物の処分禁止の仮処分命令が発せられたときは、その仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。
A 第47条第2項及び第3項並びに民事執行法第48条第2項、第53条及び第54条の規定は、前項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。
第56条(法人の代表者の職務執行停止の仮処分等の登記の嘱託)
法人を代表する者その他法人の役員として登記された者について、その職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされた場合には、裁判所書記官は、法人の本店又は主たる事務所及び支店又は従たる事務所の所在地の登記所にその登記を嘱託しなければならない。
ただし、これらの事項が登記すべきものでないときは、この限りでない。
第57条(仮処分解放金の供託による仮処分の執行の取消し)
@ 債務者が第25条第1項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は、仮処分の執行を取り消さなければならない。
A 第51条第2項の規定は、前項の規定による決定について準用する。
第4章 仮処分の効力
第58条(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力)
@ 第53条第1項の処分禁止の登記の後にされた登記に係る権利の取得又は処分の制限は、同項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をする場合には、その登記に係る権利の取得又は消滅と抵触する限度において、その債権者に対抗することができない。
A 前項の場合においては、第53条第1項の仮処分の債権者(同条第2項の仮処分の債権者を除く。)は、同条第1項の処分禁止の登記に後れる登記を抹消することができる。
B 第53条第2項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をするには、保全仮登記に基づく本登記をする方法による。
C 第53条第2項の仮処分の債権者は、前項の規定により登記をする場合において、その仮処分により保全すべき登記請求権に係る権利が不動産の使用又は収益をするものであるときは、不動産の使用若しくは収益をする権利(所有権を除く。)又はその権利を目的とする権利の取得に関する登記で、同条第1項の処分禁止の登記に後れるものを抹消することができる。
第59条(登記の抹消の通知)
@ 仮処分の債権者が前条第2項又は第4項の規定により登記を抹消するには、あらかじめ、その登記の権利者に対し、その旨を通知しなければならない。
A 前項の規定による通知は、これを発する時の同項の権利者の登記簿上の住所又は事務所にあてて発することができる。
この場合には、その通知は、遅くとも、これを発した日から1週間を経過した時に到達したものとみなす。
第60条(仮処分命令の更正等)
@ 保全仮登記に係る権利の表示がその保全仮登記に基づく本登記をすべき旨の本案の債務名義における権利の表示と符合しないときは、第53条第2項の処分禁止の仮処分の命令を発した裁判所は、債権者の申立てにより、その命令を更正しなければならない。
A 前項の規定による更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。
B 第1項の規定による更正決定が確定したときは、裁判所書記官は、保全仮登記の更正を嘱託しなければならない。
第61条(不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力)
前3条の規定は、第54条に規定する処分禁止の仮処分の効力について準用する。
第62条(占有移転禁止の仮処分の効力)
@ 物の引渡し又は明渡しの請求権を保全するため、債務者に対し、その物の占有の移転を禁止し、及びその占有を解いて執行官に引き渡すべきことを命ずるとともに、執行官にその物の保管をさせ、かつ、債務者がその物の占有の移転を禁止されている旨及び執行官がその物を保管している旨を執行官に公示させることを内容とする仮処分の執行がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、その執行がされたことを知ってその物を占有した者に対し、その物の引渡し又は明渡しの強制執行をすることができる。
仮処分の執行後にその執行がされたことを知らないで債務者の占有を承継した者に対しても、同様とする。
A 前項の仮処分の執行後に当該物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定する。
第63条(執行文の付与に対する異議の申立ての理由)
前条第1項の本案の債務名義につき同項の債務者以外の者に対する執行文が付与されたときは、その者は、執行文の付与に対する異議の申立てにおいて、債権者に対抗することができる権原により当該物を占有していること、又はその仮処分の執行がされたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由とすることができる。
第64条(建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の効力)
第55条第1項の処分禁止の登記がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、その登記がされた後に建物を譲り受けた者に対し、建物の収去及びその敷地の明渡しの強制執行をすることができる。
第65条(詐害行為取消権を保全するための仮処分における解放金に対する権利の行使)
民法(明治29年法律第89号)424条1項の規定による詐害行為取消権を保全するための仮処分命令において定められた第25条第1項の金銭の額に相当する金銭が供託されたときは、同法第424条第1項の債務者は、供託金の還付を請求する権利(以下「還付請求権」という。)を取得する。この場合において、その還付請求権は、その仮処分の執行が第57条第1項の規定により取り消され、かつ、保全すべき権利についての本案の判決が確定した後に、その仮処分の債権者が同法第424条第1項の債務者に対する債務名義によりその還付請求権に対し強制執行をするときに限り、これを行使することができる。
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