刑事訴訟法
 

第1編 総則


第1条(この法律の目的) 
 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。

第1章 裁判所の管轄

第2条(土地管轄) 
@ 裁判所の土地管轄は、犯罪地又は被告人の住所、居所若しくは現在地による。
A 国外に在る日本船舶内で犯した罪については、前項に規定する地の外、その船舶の船籍の所在地又は犯罪後その船舶の寄泊した地による。
B 国外に在る日本航空機内で犯した罪については、第1項に規定する地の外、犯罪後その航空機の着陸(着水を含む。)した地による。

第3条(関連事件の併合管轄) 
@ 事物管轄を異にする数個の事件が関連するときは、上級の裁判所は、併せてこれを管轄することができる。
A 高等裁判所の特別権限に属する事件と他の事件とが関連するときは、高等裁判所は、併せてこれを管轄することができる。

第4条(審判の分離)
 事物管轄を異にする数個の関連事件が上級の裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、上級の裁判所は、決定で管轄権を有する下級の裁判所にこれを移送することができる。

第5条(審判の併合) 
@ 数個の関連事件が各別に上級の裁判所及び下級の裁判所に係属するときは、事物管轄にかかわらず、上級の裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。
A 高等裁判所の特別権限に属する事件が高等裁判所に係属し、これと関連する事件が下級の裁判所に係属するときは、高等裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。

第6条(関連事件の併合管轄) 
 土地管轄を異にする数個の事件が関連するときは、一個の事件につき管轄権を有する裁判所は、併せて他の事件を管轄することができる。但し、他の法律の規定により特定の裁判所の管轄に属する事件は、これを管轄することができない。

第7条(審判の分離)
 土地管轄を異にする数個の関連事件が同一裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、その裁判所は、決定で管轄権を有する他の裁判所にこれを移送することができる。

第8条(審判の併合) 
@ 数個の関連事件が各別に事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、各裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定でこれを一の裁判所に併合することができる。
A 前項の場合において各裁判所の決定が一致しないときは、各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で事件を一の裁判所に併合することができる。

第9条(関連事件) 
@ 数個の事件は、左の場合に関連するものとする。
 1 1人が数罪を犯したとき。
 2 数人が共に同一又は別個の罪を犯したとき。
  数人が通謀して各別に罪を犯したとき。
A 犯人蔵匿の罪、証憑湮滅の罪、偽証の罪、虚偽の鑑定通訳の罪及び贓物に関する罪とその本犯の罪とは、共に犯したものとみなす。
 
第10条(同一事件と数個の訴訟係属) 
@ 同一事件が事物管轄を異にする数個の裁判所に係属するときは、上級の裁判所が、これを審判する。
A 上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で管轄権を有する下級の裁判所にその事件を審判させることができる。

第11条(同前)
@ 同一事件が事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、最初に公訴を受けた裁判所が、これを審判する。
A 各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で後に公訴を受けた裁判所にその事件を審判させることができる。

第12条(管轄区域外の職務執行)
@ 裁判所は、事実発見のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。
A 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。

第13条(管轄違いと訴訟手続の効力) 
 訴訟手続は、管轄違の理由によっては、その効力を失わない。

第14条(管轄違いと要急処分)
@ 裁判所は、管轄権を有しないときでも、急速を要する場合には、事実発見のため必要な処分をすることができる。
A 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。

第15条(管轄指定の請求)
 検察官は、左の場合には、関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。
  裁判所の管轄区域が明らかでないため管轄裁判所が定まらないとき。
  管轄違を言い渡した裁判が確定した事件について他に管轄裁判所がないとき。

第16条(同前)
 法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。

第17条(管轄移転の請求) 
@ 検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
  管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。
  地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。
A 前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。

第18条(同前)
 犯罪の性質、地方の民心その他の事情により管轄裁判所が審判をするときは公安を害する虞があると認める場合には、検事総長は、最高裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。

第19条(事件の移送) 
@ 裁判所は、適当と認めるときは、検察官若しくは被告人の請求により又は職権で、決定を以て、その管轄に属する事件を事物管轄を同じくする他の管轄裁判所に移送することができる。
A 移送の決定は、被告事件につき証拠調を開始した後は、これをすることができない。
B 移送の決定又は移送の請求を却下する決定に対しては、その決定により著しく利益を害される場合に限り、その事由を疎明して、即時抗告をすることができる。

 

第2章 裁判所職員の除斥及び忌避

第20条(除斥の原因) 

裁判官は、左の場合には、職務の執行から除斥される。
 裁判官が被害者であるとき。
 裁判官が被告人又は被害者の親族であるとき、又はあったとき。
 裁判官が被告人又は被害者の法定代理人、後見監督人又は保佐人であるとき。
 裁判官が事件について証人又は鑑定人となったとき。
 裁判官が事件について被告人の代理人、弁護人又は補佐人となったとき。
 裁判官が事件について検察官又は司法警察員の職務を行ったとき。
 裁判官が事件について第266条第2号の決定、略式命令、前審の裁判、第398条乃至第400条、第412条若しくは第413条の規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となった取調に関与したとき。但し、受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。

 

第21条(忌避の原因、忌避申立権者) 

@     裁判官が職務の執行から除斥されるべきとき、又は不公平な裁判をする虞があるときは、検察官又は被告人は、これを忌避することができる。

A 弁護人は、被告人のため忌避の申立をすることができる。但し、被告人の明示した意思に反することはできない。

 

第22条(忌避申立ての時期) 

事件について請求又は陳述をした後には、不公平な裁判をする虞があることを理由として裁判官を忌避することはできない。但し、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

第23条(忌避申立てに対する決定) 
@ 合議体の構成員である裁判官が忌避されたときは、その裁判官所属の裁判所が、決定をしなければならない。この場合においてその裁判所が地方裁判所であるときは、合議体で決定をしなければならない。
A 地方裁判所の1人の裁判官又は家庭裁判所の裁判官が忌避されたときはその裁判官所属の裁判所が、簡易裁判所の裁判官が忌避されたときは管轄地方裁判所が、合議体で決定をしなければならない。但し、忌避された裁判官が忌避の申立を理由があるものとするときは、その決定があったものとみなす。
B 忌避された裁判官は、前2項の決定に関与することができない。
C 裁判所が忌避された裁判官の退去により決定をすることができないときは、直近上級の裁判所が、決定をしなければならない。

第24条(忌避申立てに対する簡易却下手続) 
@ 訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな忌避の申立は、決定でこれを却下しなければならない。この場合には、前条第3項の規定を適用しない。第22条の規定に違反し、又は裁判所の規則で定める手続に違反してされた忌避の申立を却下する場合も、同様である。
A 前項の場合には、忌避された受命裁判官、地方裁判所の1人の裁判官又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、忌避の申立を却下する裁判をすることができる。

第25条(即時抗告) 
忌避の申立を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

 

第26条(裁判所書記官の除斥・忌避)

@ この章の規定は、第20条第7号の規定を除いて、裁判所書記にこれを準用する。

A   決定は、裁判所書記所属の裁判所がこれをしなければならない。但し、第24条第1項の場合には、裁判所書記の附属する受命裁判官が、忌避の申立を却下する裁判をすることができる。

 

第4章 弁護及び補佐 


第30条(弁護人選任の時期、選任権者) 
@ 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
A 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。

第31条(資格、特別弁護人) 
@ 弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。
A 簡易裁判所、家庭裁判所又は地方裁判所においては、裁判所の許可を得たときは、弁護士でない者を弁護人に選任することができる。但し、地方裁判所においては、他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。

第32条(選任の効力) 
@ 公訴の提起前にした弁護人の選任は、第一審においてもその効力を有する。
A 公訴の提起後における弁護人の選任は、審級ごとにこれをしなければならない。

第33条(主任弁護人)
 被告人に数人の弁護人があるときは、裁判所の規則で、主任弁護人を定めなければならない。

第34条(同前)
 前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。

第35条(弁護人の数の制限) 
 裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人又は被疑者の弁護人の数を制限することができる。但し、被告人の弁護人については、特別の事情のあるときに限る。

第36条(国選弁護) 
 
被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。

第37条(同前)  
 左の場合に被告人に弁護人がないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。
  被告人が未成年者であるとき。
 2 被告人が年齢70年以上の者であるとき。
 3 被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。
 4 被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑があるとき。
  その他必要と認めるとき。

第38条(同前) 
@ この法律の規定に基いて裁判所又は裁判長が附すべき弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。
A 前項の規定により選任された弁護人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。

第39条(被告人・被疑者との接見交通) 
@ 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあっては、第31条第2項の許可があった後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
A 前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。
B 検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない。

第40条(書類・証拠物の閲覧・謄写)
 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。

第41条(独立行為権) 
 弁護人は、この法律に特別の定のある場合に限り、独立して訴訟行為をすることができる。

第42条(補佐人)
@ 被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となることができる。
A 補佐人となるには、審級ごとにその旨を届け出なければならない。
B 補佐人は、被告人の明示した意思に反しない限り、被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。

(中略)

第8章 被告人の召還、勾引及び勾留

 

第57条(召喚)
裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、被告人を召喚することができる。

第58条(勾引)
裁判所は、次の場合には、被告人を勾引することができる。
 被告人が定まった住居を有しないとき。
 被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。

 

第59条(勾引の効力)

勾引した被告人は、裁判所に引致した時から24時間以内にこれを釈放しなければならない。但し、その時間内に勾留状が発せられたときは、この限りでない。

 

第60条(勾留の要件、期間、期間の更新)

@ 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の1にあたるときは、これを勾留することができる。

 被告人が定まった住居を有しないとき。

 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

A 勾留の期間は、公訴の提起がなった日から2箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、1箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第89条第1号、第3号、第4号又は第6号にあたる場合を除いては、更新は、1回に限るものとする。
B 30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まった住居を有しない場合に限り、第1項の規定を適用する。

 

第61条(勾留被告事件の告知) 

被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。

第62条(令状)
 被告人の召喚、勾引又は勾留は、召喚状、勾引状又は勾留状を発してこれをしなければならない。

第63条(召喚状の方式)

召喚状には、被告人の氏名及び住居、罪名、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは勾引状を発することがある旨その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。

第64条(勾引状・勾留状の方式) 
@ 勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき監獄、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。
A 被告人の氏名が明らかでないときは、人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示することができる。
B 被告人の住居が明らかでないときは、これを記載することを要しない。

第65条(召喚の手続) 
@ 召喚状は、これを送達する。
A 被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。
B 裁判所に近接する監獄にいる被告人に対しては、監獄官吏に通知してこれを召喚することができる。この場合には、被告人が監獄官吏から通知を受けた時に召喚状の送達があったものとみなす。

第66条(勾引の嘱託)
@ 裁判所は、被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に被告人の勾引を嘱託することができる。
A 受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。
B 受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。
C 嘱託又は移送を受けた裁判官は、勾引状を発しなければならない。
D 第64条の規定は、前項の勾引状についてこれを準用する。この場合においては、勾引状に嘱託によってこれを発する旨を記載しなければならない。

第67条(嘱託による勾引の手続)
@ 前条の場合には、嘱託によって勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から24時間以内にその人違でないかどうかを取り調べなければならない。
A 被告人が人違でないときは、速やかに且つ直接これを指定された裁判所に送致しなければならない。この場合には、嘱託によって勾引状を発した裁判官は、被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。
B 前項の場合には、第59条の期間は、被告人が指定された裁判所に到着した時からこれを起算する。

第68条(出頭命令・同行命令・勾引)
 裁判所は、必要があるときは、指定の場所に被告人の出頭又は同行を命ずることができる。被告人が正当な理由がなくこれに応じないときは、その場所に勾引することができる。この場合には、第59条の期間は、被告人をその場所に引致した時からこれを起算する。

第69条(裁判長の権限)
 裁判長は、急速を要する場合には、第57条乃至第62条、第65条、第66条及び前条に規定する処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

第70条(勾引状・勾留状の執行)
@ 勾引状又は勾留状は、検察官の指揮によって、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。但し、急速を要する場合には、裁判長、受命裁判官又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、その執行を指揮することができる。
A 監獄にいる被告人に対して発せられた勾留状は、検察官の指揮によって、監獄官吏がこれを執行する。

第71条(勾引状・勾留状の管轄区域外における執行・執行の嘱託)
 検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しくは司法警察職員にその執行を求めることができる。

第72条(被告人の捜査、勾引状・勾留状の執行の嘱託)
@ 被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託することができる。
A 嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査及び勾引状又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。

第73条(勾引状・勾留状執行の手続) 
@ 勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。第66条第4項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。
A 勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された監獄に引致しなければならない。
B 勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前2項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

第74条(護送中の仮留置)
 勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において必要があるときは、仮に最寄の監獄にこれを留置することができる。

第75条(勾引された被告人の留置) 
 勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において必要があるときは、これを監獄に留置することができる。

第76条(勾引された被告人と公訴事実.弁護人選任権の告知)
@ 被告人を勾引したときは、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
A 前項の告知は、合議体の構成員又は裁判所書記にこれをさせることができる。
B 第66条第4項の規定により勾引状を発した場合には、第1項の告知は、その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。但し、裁判所書記にその告知をさせることができる。

第77条(勾留と弁護人選任権等の告知)
@ 逮捕又は勾引に引き続き勾留する場合を除いて被告人を勾留するには、被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。
A 第61条但書の場合には、被告人を勾留した後直ちに、前項に規定する事項の外、公訴事実の要旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
B 前条第2項の規定は、前2項の告知についてこれを準用する。

第78条(弁護人選任の申出)
@ 勾引又は勾留された被告人は、裁判所又は監獄の長若しくはその代理者に弁護士又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる。但し、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。
A 前項の申出を受けた裁判所又は監獄の長若しくはその代理者は、直ちに被告人の指定した弁護士又は弁護士会にその旨を通知しなければならない。被告人が2人以上の弁護士又は2以上の弁護士会を指定して前項の申出をしたときは、そのうちの1人の弁護士又は一の弁護士会にこれを通知すれば足りる。

第79条(勾留と弁護人等への通知)
 被告人を勾留したときは、直ちに弁護人にその旨を通知しなければならない。被告人に弁護人がないときは、被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者1人にその旨を通知しなければならない。

第80条(勾留と接見交通) 
 勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により監獄に留置されている被告人も、同様である。

第81条(接見交通の制限) 
 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。

第82条(勾留理由開示の請求) 
@ 勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
A 勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。
B 前2項の請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。

第83条(勾留の理由の開示)
@ 勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。
A 法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。
B 被告人及びその弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない。但し、被告人の出頭については、被告人が病気その他やむを得ない事由によって出頭することができず且つ被告人に異議がないとき、弁護人の出頭については、被告人に異議がないときは、この限りでない。

第84条(同前)
@ 法廷においては、裁判長は、勾留の理由を告げなければならない。
A 検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。但し、裁判長は、相当と認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を差し出すべきことを命ずることができる。

第85条(同前)
 勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。

第86条(同前)
 同一の勾留について第82条の請求が2以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。その他の請求は、勾留の理由の開示が終った後、決定でこれを却下しなければならない。

第87条(勾留の取消し)
@ 勾留の理由又は勾留の必要がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
A 第82条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第88条(保釈の請求)
@ 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。
A 第82条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第89条(必要的保釈) 
 保釈の請求があったときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない。
  被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
  被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
  被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  被告人の氏名又は住居が判らないとき。

第90条(裁量保釈) 
 裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

第91条(不当に長い拘禁と勾留の取消し・保釈) 
@ 勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、第88条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
A 第82条第3項(保釈等による請求の失効)の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第92条(保釈と検察官の意見)
@ 裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
A 検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項と同様である。但し、急速を要する場合は、この限りでない。

第93条(保釈金額、保釈の条件) 

@ 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。

A 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
B 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。

第94条(保釈の手続)
@ 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。
A 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。
B 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。

第95条(勾留の執行停止) 
 裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。

第96条(保釈等の取消し、保証金の没収) 
@ 裁判所は、左の各号の1にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
  被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 4 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
 5 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
A 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
B 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

第97条(上訴と勾留に関する決定) 
@ 上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。
A 上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。
B 前2項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。

第98条(保釈の取消し等と収監の手続)
@ 保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があったとき、又は勾留の執行停止の期間が満了したときは、検察事務官、司法警察職員又は監獄官吏は、検察官の指揮により、勾留状の謄本及び保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを収監しなければならない。
A 前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを収監することができる。但し、その書面は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。
B 第71条の規定は、前2項の規定による収監についてこれを準用する。

 
(中略)

 

第1章 捜 査

 

第189条

@ 警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員として職務を行う。

A 司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。

 

第190条

森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。

 

第191条

@ 検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。

A 検察事務官は、検察官の指揮を受け、捜査をしなければならない。

 

第192条

検察官と都道府県公安委員会及び司法警察職員とは、捜査に関し、互に協力しなければならない。

 

第193条

@ 検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、その捜査に関し、必要な一般的指示をすることができる。この場合における指示は、捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うするために必要な事項に関する一般的な準則を定めることによって行うものとする。

A 検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、捜査の協力を求めるため必要な一般的指揮をすることができる。

B 検察官は、自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせることができる。

C 前3項の場合において、司法警察職員は、検察官の指示又は指揮に従わなければならない。

 

第194条

@ 検事総長、検事長又は検事正は、司法警察職員が正当な理由がなく検察官の指示又は指揮に従わない場合において必要と認めるときは、警察官たる司法警察職員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会に、警察官たる者以外の司法警察職員については、その者を懲戒し又は罷免する権限を有する者に、それぞれ懲戒又は罷免の訴追をすることができる。

A 国家公安委員会、都道府県公安委員会又は警察官たる者以外の司法警察職員を懲戒し若しくは罷免する権限を有する者は、前項の訴追が理由のあるものと認めるときは、別に法律の定めるところにより、訴追を受けた者を懲戒し又は罷免しなければならない。

 

第195条

検察官及び検察事務官は、捜査のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。

 

196条

検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない。

 

第197条

@ 捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。

A 捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 

第198条

@ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

A 前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

B 被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。

C 前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。

5 被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。

 

第199条

@ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

A 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

B 検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。

 

第200条

@ 逮捕状には、被疑者の氏名及び住居、罪名、被疑事実の要旨、引致すべき官公署その他の場所、有効期間及びその期間経過後は逮捕をすることができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。

A 第64条第2項及び第3項の規定は、逮捕状についてこれを準用する。

 

第201条

@ 逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。

A 第73条第3項の規定は、逮捕状により被疑者を逮捕する場合にこれを準用する。

 

第202条

検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。

 

第203条 

@ 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

A 前項の場合において、被疑者に弁護人の有無を尋ね、弁護人があるときは、弁護人を選任することができる旨は、これを告げることを要しない。

B 第1項の時間の制限内に送致の手続をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

 

第204条

@ 検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者(前条の規定により送致あれた被疑者を除く。)を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。但し、その時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。

A 前項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

B 前条第2項の規定は、第1項の場合にこれを準用する。

 

第205条

@ 検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取ったときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

A 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。

B 前2項の時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。

C 第1項及び第2項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

 

第206条

@ 検察官又は司法警察員がやむを得ない事情によって前3条の時間の制限に従うことができなかつたときは、検察官は、裁判官にその事由を疎明して、被疑者の勾留を請求することができる。

A 前項の請求を受けた裁判官は、その遅延がやむを得ない事由に基く正当なものであると認める場合でなければ、勾留状を発することができない。

 

第207条

@ 前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。

A 裁判官は、前項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。但し、勾留の理由がないと認めるとき、及び前条第2項の規定により勾留状を発することができないときは、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。

 

第208条

@ 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

A 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。

 

第208条の2

裁判官は、刑法第2編第2章乃至第4章又は第8章の罪にあたる事件については、検察官の請求により、前条第2項の規定により延長された期間を更に延長することができる。この期間の延長は、通じて5日を超えることができない。

 

209条

第74条、第75条及び第78条の規定は、逮捕状による逮捕についてこれを準用する。

 

第210条

@ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

A 第200条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。

 

第211条

前条の規定により被疑者が逮捕された場合には、第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。

 

第212条

@ 現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。

A 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。

1.犯人として追呼されているとき。

2.贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。

3.身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。

4.誰何されて逃走しようとするとき。

 

第213条

現行犯人は、何人でも、逮補状なくしてこれを逮捕することができる。

 

第214条

検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

 

第215条

@ 司法巡査は、現行犯人を受け取ったときは、直やかにこれを司法警察員に引致しなければならない。

A 司法巡査は、犯人を受け取った場合には、逮捕者の氏名、住居及び逮捕の事由を聴き取らなければならない。必要があるときは、逮捕者に対しともに官公署に行くことを求めることができる。

 

第216条

現行犯人が逮捕された場合には、第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。

 

第217条

30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。

 

第218条

@ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押、捜索又は検証をすることができる。この場合において身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。

A 身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、前項の令状によることを要しない。

B 第1項の令状は、検察官、検察事務官又は司法警察官の請求により、これを発する。

C 検察官、検察事務官又は司法警察員は、身体検査令状の請求をするには、身体の検査を必要とする理由及び身体の検査を受ける者の性別、健康状態その他裁判所の規則で定める事項を示さなければならない。

D 裁判官は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附することができる。

 

第219条

@ 前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押えるべき物、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。

A 第64条第2項の規定は、前条の令状についてこれを準用する。

 

第220条

@ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第210条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。

1.人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。

2.逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。

A 前項後段の場合において逮捕状が得られなかつたときは、差押物は、直ちにこれを還付しなければならない。

B 第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。

C 第1項第2号及び前項の規定は、検察事務官又は司法警察職員が勾引状又は勾留状を執行する場合にこれを準用する。被疑者に対して発せられた勾引状又は勾留状を執行する場合には、第1項第1号の規定をも準用する。

 

第221条

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。

 

第222条

@ 第99条、第100条、第102条乃至第105条、第110条乃至第112条、第114条、第115条及び第118条乃至第124条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条、第220条及び前条の規定によってする押収又は捜索について、第110条、第112条、第114条、第118条、第129条、第131条及び第137条乃至第140条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条又は第220条の規定によってする検証についてこれを準用する。但し、司法巡査は、第122条乃至第124条に規定する処分をすることができない。

A 第220条の規定により被疑者を捜索する場合において急速を要するときは、第114条第2項の規定によることを要しない。

B 第116条及び第117条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条の規定によってする押収又は捜索について、これを準用する。

C 日出前、日没後には、令状に夜間でも検証をすることができる旨の記載がなければ、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第218条の規定によってする検証のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることができない。但し、第117条に規定する場所については、この限りでない。

D 日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。

E 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第218条の規定により差押、捜索又は検証をするについて必要があるときは、被疑者をこれに立ち会わせることができる。

F 第1項の規定により、身体の検査を拒んだ者を過料に処し、又はこれに賠償を命ずべきときは、裁判所にその処分を請求しなければならない。

 

第222条の2

通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分については、別に法律で定めるところによる。

 

第223条

@ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。

A 第198条第1項但書及び第3項乃至第5項の規定は、前項の場合にこれを準用する。

 

第224条

@ 前条第1項の規定により鑑定を嘱託する場合において第167条第1項に規定する処分を必要とするときは、検察官、検察事務官又は司法警察員は、裁判官にその処分を請求しなければならない。

A 裁判官は、前項の請求を相当と認めるときは、第167条の場合に準じてその処分をしなければならない。この場合には、第167条の2の規定を準用する。

 

第225条

@ 第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第168条第1項に規定する処分をすることができる。

A 前項の許可の請求は、検察官、検察事務官又は司法警察員からこれをしなければならない。

B 裁判官は、前項の請求を相当と認めるときは、許可状を発しなければならない。

C 第168条第2項乃至第4項及び第6項の規定は、前項の許可状についてこれを準用する。

 

第226条

犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第223条第1項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

 

第227条

@ 第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調に際して任意の供述をした者が、公判期日においては圧迫を受け前にした供述と異る供述をする虞があり、且つ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

A 前項の請求をするには、検察官は、証人尋問を必要とする理由及びそれが犯罪の証明に欠くことができないものであることを疎明しなければならない。

 

第228条

@ 前2条の請求を受けた裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。

A 裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。

 

第229条

@ 変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。

A 検察官は、検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる。

 

 
第230条(告訴権者)
  犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。
 
第231条(同前)
@ 被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
A 被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。
 

第232条(同前)

 被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者の4親等内の血族若しくは3親等内の姻族であるときは、被害者の親族は、独立して告訴をすることができる。

 

第233条(同前)

@ 死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫は、告訴をすることができる。

A 名誉を毀損した罪について被害者が告訴をしないで死亡したときも、前項と同様である。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

 

第234条(告訴権者の指定)

   親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人の申立により告訴をすることができる者を指定することができる。

 

第235条(告訴期間)

@ 親告罪の告訴は、犯人を知った日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。但し、刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する刑法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴については、この限りでない。

A 刑法第229条但書の場合における告訴は、婚姻の無効又は取り消しの裁判が確定した日から6箇月以内にこれをしなければ、その効力がない。

 

第236条(告訴期間の独立)

   告訴をすることができる者が数人ある場合には、1人の期間の経過は、他の者に対しその効力を及ぼさない。

 

第237条(告訴の取り消し)

@ 告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。

A 告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。

B 前2項の規定は、請求を待って受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。

 

第238条(告訴の不可分)

@ 親告罪について共犯の1人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。

B 前項の規定は、告発又は請求を待って受理すべき事件についての告発若しくは請求又はその取消についてこれを準用する。

 

第239条(告発)

@ 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。

A 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

 

第240条(告訴の代理)

 告訴は、代理人によりこれをすることができる。告訴の取消についても、同様である。

 

第241条(告訴・告発の方法)

@ 告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

A 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは、調書を作らなければならない。

 

第242条(告訴・告発を受けた司法警察職員の手続き)

 司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

 

第243条(準用規定)

 前2条の規定は、告訴又は告発の取消についてこれを準用する。

 

第244条(外国代表者等の告訴の特別方式)

刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴又はその取消は、第241条及び前条の規定にかかわらず、外務大臣にこれをすることができる。日本国に派遣された外国の

使節に対する刑法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴又はその取消も同様である。

 

第245条(自首)

 第241条及び242条の規定は、自首についてこれを準用する。

 

第246条(司法警察員から検察官への事件の送致)

 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定し

た事件については、この限りでない

 

 第2章 公 訴

第247条(国家訴追主義)

公訴は、検察官がこれを行う。

 

第248条(起訴便宜主義

犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

 

第249条(公訴効力の人的範囲

公訴は、検察官の指定した被告人以外の者にその効力を及ぼさない。

 

第250条(公訴時効期間)

 時効は、左の期間を経過することによって完成する。

1.死刑にあたる罪については25年

2.無期の懲役又は禁錮にあたる罪については15年 

3.長期15年以上の懲役又は禁錮にあたる罪については10年

4.長期15年未満の懲役又は禁錮にあたる罪については5年

5.長期10年未満の懲役又は禁錮にあたる罪については3年

6.長期5年末満の懲役若しくは禁錮又は罰金にあたる罪については3年

7.拘留又は科料にあたる罪については1年

 

凶悪犯の検挙率が極度に低下している現状から、04年12月に刑事訴訟法が改正され、1.死刑に当たる罪については、15年から25年に、2.無期の懲役又は禁錮に当たる罪については10年から15年に延長され、また、3.長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については、10年の時効期間があらたに設けられた(05年1月1日施行)

 

第251条(時効期間の標準となる刑)

2以上の主刑を併科し、又は2以上の主刑中その一を科すべき罪については、その重い刑に従って、前条の規定を適用する。

 

第252条(同前)

刑法により刑を加重し、又は減軽すべき場合には、加重し、又は減軽しない刑に従って、第250条の規定を適用する。

 

第253条(時効の起算点)

@ 時効は、犯罪行為が終った時から進行する。

A 共犯の場合には、最終の行為が終った時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算する。

 

第254条(公訴提起と時効停止)

@ 時効は、当該事件についてした公訴の提起によってその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。

A 共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。

 

第255条(その他の時効の停止)

@ 犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかった場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。

A 犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかったことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれを定める。

 

第256条(起訴状等)

@ 公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。

A 起訴状には、左の事項を記載しなければならない。

1.被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項

2.公訴事実

3.罪名

B 公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。

C 罪名は、適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない。但し、罰条の記載の誤は、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り、公訴提起の効力に影響を及ぼさない。

D 数個の訴因及び罰条は、予備的に又は択一的にこれを記載することができる。

E 起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない。

 

第257条(公訴の取り消し)

公訴は、第一審の判決が、あるまでこれを取り消すことができる。

 

第3節 公判

第338条(公訴棄却の判決)

 左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。

 被告人に対して裁判権を有しないとき。

2 第340条の規定に違反して公訴が提起されたとき。

 公訴の提起がなった事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。

 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。

 

345条(勾留状の失効)

無罪、免訴、刑の免除、刑の執行猶予、公訴棄却(第338条第4号による場合を除く。)、罰金又は科料の裁判の告知がなったときは、勾留状は、その効力を失う。

 

第3編 上訴

 

第4章 抗告

 

第426条(抗告に対する決定)

@ 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。

A 抗告が理由のあるときは、決定で原決定を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。
 

第433条(特別抗告)  

@ この法律により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、第405条に規定する事由があることを理由とする場合に限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
A 前項の抗告の提起期間は、5日とする。

 

第434条(同前)                                     

 第423条、第424条及び第426条の規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、前条第1項の抗告についてこれを準用する。

 

 

第4編 再審

 

第435条(再審請求の理由)

 再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。

 原判決の証拠となった証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造でなったことが証明されたとき。

 原判決の証拠となった証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽でなったことが証明されたとき。

 有罪の言渡を受けた者を誣告した罪が確定判決により証明されたとき。
但し、誣告により有罪の言渡を受けたときに限る。

 原判決の証拠となった裁判が確定裁判により変更されたとき。

 特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、又は無効の判決がなったとき。

 有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。

 原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となった証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となった書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。但し、原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対して公訴の提起がなった場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかつたときに限る。

 

第436条(同前)

@ 再審の請求は、左の場合において、控訴又は上告を棄却した確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。

 前条第1号又は第2号に規定する事由があるとき。

 原判決又はその証拠となった証拠書類の作成に関与した裁判官について前条第7号に規定する事由があるとき。

A 第一審の確定判決に対して再審の請求をした事件について再審の判決がなった後は、控訴棄却の判決に対しては、再審の請求をすることはできない。
B 第一審又は第二審の確定判決に対して再審の請求をした事件について再審の判決がなった後は、上告棄却の判決に対しては、再審の請求をすることはできない。
 

第437条(再審請求と確定判決に代わる証明)

 前2条の規定に従い、確定判決により犯罪が証明されたことを再審の請求の理由とすべき場合において、その確定判決を得ることができないときは、その事実を証明して再審の請求をすることができる。
但し、証拠がないという理由によって確定判決を得ることができないときは、この限りでない。
 

第438条(再審請求と管轄)

 再審の請求は、原判決をした裁判所がこれを管轄する。

第439条(再審請求権者)

@ 再審の請求は、左の者がこれをすることができる。

 検察官

 有罪の言渡を受けた者

 有罪の言渡を受けた者の法定代理人及び保佐人

 有罪の言渡を受けた者が死亡し、又は心神喪失の状態に在る場合には、その配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹

A 第435条第7号又は第436条第1項第2号に規定する事由による再審の請求は、有罪の言渡を受けた者がその罪を犯させた場合には、検察官でなければこれをすることができない。
 

第440条(再審請求と弁護人の選任)

@ 検察官以外の者は、再審の請求をする場合には、弁護人を選任することができる。

A 前項の規定による弁護人の選任は、再審の判決があるまでその効力を有する。
 

第441条(再審請求の時期)

 再審の請求は、刑の執行が終り、又はその執行を受けることがないようになったときでも、これをすることができる。
 

第442条(再審請求と執行停止の効力)

 再審の請求は、刑の執行を停止する効力を有しない。但し、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる。
 

第443条(再審請求の取り下げ)

@ 再審の請求は、これを取り下げることができる。

A 再審の請求を取り下げた者は、同一の理由によっては、更に再審の請求をすることができない。
 

第444条(在監者に関する特則)

 第366条の規定は、再審の請求及びその取下についてこれを準用する。
 

第445条(再審請求と事実の取り調べ)

 再審の請求を受けた裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に再審の請求の理由について、事実の取調をさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
 

第446条(請求棄却の決定)

 再審の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。
 

第447条(同前)

@ 再審の請求が理由のないときは、決定でこれを棄却しなければならない。
A 前項の決定がなったときは、何人も、同一の理由によっては、更に再審の請求をすることはできない。
 

第448条(再審開始の決定

@ 再審の請求が理由のあるときは、再審開始の決定をしなければならない。
A 再審開始の決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。
 

第449条(再審請求の競合と請求棄却の決定)

@ 控訴を棄却した確定判決とその判決によって確定した第一審の判決とに対して再審の請求がなった場合において、第一審裁判所が再審の判決をしたときは、控訴裁判所は、決定で再審の請求を棄却しなければならない。
A 第一審又は第二審の判決に対する上告を棄却した判決とその判決によって確定した第一審又は第二審の判決とに対して再審の請求がなった場合において、第一審裁判所又は控訴裁判所が再審の判決をしたときは、上告裁判所は、決定で再審の請求を棄却しなければならない。
 

第450条(即時抗告)

 第446条、第447条第1項、第448条第1項又は前条第1項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 

第451条(再審の審判)

@ 裁判所は、再審開始の決定が確定した事件については、第449条の場合を除いては、その審級に従い、更に審判をしなければならない。
A 左の場合には、第314条第1項本文及び第339条第1項第4号の規定は、前項の審判にこれを適用しない。

 死亡者又は回復の見込がない心神喪失者のために再審の請求がされたとき。

 有罪の言渡を受けた者が、再審の判決がある前に、死亡し、又は心神喪失の状態に陥りその回復の見込がないとき。

B 前項の場合には、被告人の出頭がなくても、審判をすることができる。但し、弁護人が出頭しなければ開廷することはできない。
C 第2項の場合において、再審の請求をした者が弁護人を選任しないときは、裁判長は、職権で弁護人を附しなければならない。

 

第452条(不利益変更の禁止)

 再審においては、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。
 

第453条(無罪判決の公示)

 再審において無罪の言渡をしたときは、官報及び新聞紙に掲載して、その判決を公示しなければならない。
 

 

第5編 非常上告

 

                              

第454条(非常上告の理由)

 検事総長は、判決が確定した後その事件の審判が法令に違反したことを発見したときは、最高裁判所に非常上告をすることができる。
                             

第455条(申し立ての方式)

 非常上告をするには、その理由を記載した申立書を最高裁判所に差し出さなければならない。
                             

第456条(公判期日における陳述)

 公判期日には、検察官は、申立書に基いて陳述をしなければならない。
                             

第457条(棄却の判決)

 非常上告が理由のないときは、判決でこれを棄却しなければならない。
                             

第458条(破棄の判決)

 非常上告が理由のあるときは、左の区別に従い、判決をしなければならない。

 原判決が法令に違反したときは、その違反した部分を破棄する。但し、原判決が被告人のため不利益であるときは、これを破棄して、被告事件について更に判決をする。

 訴訟手続が法令に違反したときは、その違反した手続を破棄する。       

                              

第459条(非常上告の判決の効果)

 非常上告の判決は、前条第1号但書の規定によりされたものを除いては、その効力を被告人に及ぼさない。

第460条(調査の範囲、事実の取り調べ)

@ 裁判所は、申立書に包含された事項に限り、調査をしなければならない。

A 裁判所は、裁判所の管轄、公訴の受理及び訴訟手続に関しては、事実の取調をすることができる。この場合には、第393条第3項の規定を準用する。

 

第5編 略式起訴

 

第461条(略式起訴)

簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で100以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。

 

06年5月28日改正法施行前

簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、50万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を料し、その他付随の処分をすることができる。

 

第461条の2(略式起訴についての説明と被疑者の異議)

@ 検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。

A 被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。 

    

第462条(略式命令の請求)

@ 略式命令の請求は、公訴の提起と同時に、書面でこれをしなければならない。  

A 前項の書面には、前条第2項の書面を添附しなければならない。    

    

第463条(通常の審判)

@ 前条の請求があった場合において、その事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。

A 検察官が、第461条の2に定める手続をせず、又は前条第2項に違反して略式命令を請求したときも、前項と同様である。   

B 裁判所は、前2項の規定により通常の規定に従い審判をするときは、直ちに検察官にその旨を通知しなければならない。   

C 第1項及び第2項の場合には、第271条の規定の適用があるものとする。但し、同条第2項に定める期間は、前項の通知があった日から2箇月とする。

    

第463条の2(公訴提起の失効)

@ 前条の場合を除いて、略式命令の請求があった日から4箇月以内に略式命令が被告人に告知されないときは、公訴の提起は、さかのぼってその効力を失う。 

A 前項の場合には、裁判所は、決定で、公訴を棄却しなければならない。略式命令が既に検察官に告知されているときは、略式命令を取り消した上、その決定をしなければならない。   

B 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

    

第464条(略式命令の方式)

 略式命令には、罪となるべき事実、適用した法令、科すべき刑及び附随の処分並びに略式命令の告知があっ日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる旨を示さなければならない。  

    

第465条(正式裁判の請求)

@ 略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる。  

A 正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があったときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。  

    

第466条(同前の取下げ)

 正式裁判の請求は、第一審の判決があるまでこれを取り下げることができる。   

    

第467条(上訴規定の準用)

第353条、第355条、第355条乃至第357条、第359条代359条、第360条及び第361条乃至第365条の規定は、正式裁判の請求又はその取下についてこれを準用する。 

    

第468条(正式裁判請求の棄却、通常の審判)

@ 正式裁判の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

A 正式裁判の請求を適法とするときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。  

B 前項の場合においては、略式命令に拘束されない。  

    

第469条(略式命令の失効)

 正式裁判の請求により判決をしたときは、略式命令は、その効力を失う。 

    

第470条(略式命令の効力)

 略式命令は、正式裁判の請求期間の経過又はその請求の取下により、確定判決と同一の効力を生ずる。正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも、同様である。


(中略)

 

        第7編 裁判の執行
 
第471条(裁判の確定と執行)
 裁判は、この法律に特別の定のある場合を除いては、確定した後これを執行する。
 
第472条(裁判の執行権)
@ 裁判の執行は、その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。但し、第70条第1項但書の場合、第108条第1項但書の場合その他その性質上裁判所又は裁判官が指揮すべき場合は、この限りでない。
A 上訴の裁判又は上訴の取下により下級の裁判所の裁判を執行する場合には、上訴裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。但し、訴訟記録が下級の裁判所又はその裁判所に対応する検察庁に在るときは、その裁判所に対応する検察庁の検察官が、これを指揮する。
 
第473条(執行指揮の方法)
 裁判の執行の指揮は、書面でこれをし、これに裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本を添えなければならない。但し、刑の執行を指揮する場合を除いては、裁判書の原本、謄本若しくは抄本又は裁判を記載した調書の謄本若しくは抄本に認印して、これをすることができる。
 
第474条(刑の執行順序)
 2以上の主刑の執行は、罰金及び科料を除いては、その重いものを先にする。但し、検察官は、重い刑の執行を停止して、他の刑の執行をさせることができる。
 
第475条(死刑の執行) 
@ 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
A 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの
期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。
 
第476条(死刑の執行) 
法務大臣が死刑の執行を命じたときは、5日以内にその執行をしなければならない。
 
第477条(死刑の執行)
@ 死刑は、検察官、検察事務官及び監獄の長又はその代理者の立会の上、これを執行しなければならない。
A 検察官又は監獄の長の許可を受けた者でなければ、刑場に入ることはできない。
 
第478条(死刑の執行) 
死刑の執行に立ち会った検察事務官は、執行始末書を作り、検察官及び監獄の長又はその代理者とともに、これに署名押印しなければならない。
 
第479条(死刑執行の停止) 
@ 死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。
A 死刑の言渡を受けた女子が懐胎しているときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。
B 前2項の規定により死刑の執行を停止した場合には、心神喪失の状態が回復した後又は出産の後に法務大臣の命令がなければ、執行することはできない。
C 第475条第2項の規定は、前項の命令についてこれを準用する。この場合において、判決確定の日とあるのは、心神喪失の状態が回復した日又は出産の日と読み替えるものとする。
 
第480条(自由刑の執行停止) 
懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によって、その状態が回復するまで執行を停止する。
 
第481条(自由刑の執行停止) 
@ 前条の規定により刑の執行を停止した場合には、検察官は、刑の言渡を受けた者を監護義務者又は地方公共団体の長に引き渡し、病院その他の適当な場所に入れさせなければならない。
A 刑の執行を停止された者は、前項の処分があるまでこれを監獄に留置し、その期間を刑期に算入する。
 
第482条(自由刑の施行停止) 
懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者について左(以下)の事由があるときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によって執行を停止することができる。
  刑の執行によって、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできない虞があるとき。
 2 年齢70年以上であるとき。
 3 受胎後150日以上であるとき。
  出産後60日を経過しないとき。
  刑の執行によって回復することのできない不利益を生ずる虞があるとき。
  祖父母又は父母が年齢70年以上又は重病若しくは不具で、他にこれを保護する親族がないとき。
  子又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。
  その他重大な事由があるとき。
 
第483条(訴訟費用負担の執行停止) 
第500条に規定する申立の期間内及びその申立があったときは、訴訟費用の負担を命ずる裁判の執行は、その申立についての裁判が確定するまで停止される。
 
第484条(刑執行停止の呼び出し) 
死刑、懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者が拘禁されていないときは、検察官は、執行のためこれを呼び出さなければならない。呼出に応じないときは、収監状を発しなければならない。
 
第485条(収監状の発行) 
死刑、懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者が逃亡したとき、又は逃亡する虞があるときは、検察官は、直ちに収監状を発し、又は司法警察員にこれを発せしめることができる。
 
第486条(検事長対する収監の請求) 
@ 死刑、懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者の現在地が判らないときは、検察官は、検事長にその収監を請求することができる。
A 請求を受けた検事長は、その管内の検察官に収監状を発せしめなければならない。
 
第487条(収監状) 
収監状には、刑の言渡を受けた者の氏名、住居、年齢、刑名、刑期その他収監に必要な事項を記載し、検察官又は司法警察員が、これに記名押印しなければならない。
 
第488条(収監上の効力) 
収監状は、勾引状と同一の効力を有する。
 
第489条(収監状の執行) 
収監状の執行については、勾引状の執行に関する規定を準用する。
 
第490条(財産刑等の執行) 
@ 罰金、科料、没収、追徴、過料、没取、訴訟費用、費用賠償又は仮納付の裁判は、検察官の命令によってこれを執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
A 前項の裁判の執行は、民事執行法(昭和54年法律第4号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。ただし、執行前に裁判の送達をすることを要しない。
 

(以下略)

 

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