非核三原則=⇒非核三原則

 

(政府与党の)「核武装」発言安倍首相の核軍縮についての認識に関する質問主意書と答弁書非核三原則に関する質問主意書と答弁書核保有を巡る政府の憲法解釈に関する質問主意書と答弁書

 

 1967(昭和42)年12月11日、沖縄返還にかかわる在沖縄日米軍基地の核兵器が国会で問題になった時、原子潜水艦の日本寄港とあいまって、衆院予算委員会で、当時の佐藤首相「核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まない」と答弁したのが最初で、同首相は、1970(昭和45)年3月30日の衆院予算委員会で、中曽根防衛庁長官(当時)の非核三原則の維持など、自主防衛5原則支持を表明している。

 

 71(昭和46)年11月24日には衆議院本会議(第67回国会〔沖縄返還国会〕)が、「非核兵器ならびに沖縄米軍基地縮小に関する決議」(「1 政府は、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずの非核三原則を遵守するとともに、沖縄返還時に適切なる手段をもって、核が沖縄に存在しないこと、ならびに返還後も核を持ち込ませないことを明らかにする措置をとるべきである。1 政府は、沖縄米軍基地についてすみやかな将来に縮小整理の措置をとるべきである。 右決議する。」)を採択、また、76(昭和51)年の核拡散防止条約(NPT)批准にあわせ、衆参両院外務委員会が同年に「非核三原則は国是(こくぜー国全体が正しいと認める、一国の政治上の方針)として確立されていることに鑑(かんが)み、いかなる場合も忠実に履行、順守することに政府は努力すべき」と決議している。

 

以後日本政府(歴代内閣)は、非核三原則を国是として堅持してきたおり、こうした原則の下、唯一の被爆国として核兵器の廃絶に向けて努力する日本の姿勢は、国際社会の中でもよく知られている。そのため、99年10月に週刊誌(『プレイボー』)の対談で「核武装発言」をした当時の西村真悟防衛政務次官(自由党−近畿比例代表)が更迭される(辞任する)という出来事も起きた。

 

さらに「平和の祭典」といわれる日韓共催のW杯サッカーの開会式を目前に控えた02年5月31日(対外的にはインド、パキスタン両国に緊張緩和を働きかけているとき。対内的には有事関連3法案が審議されているおり)政府首脳(福田官房長官のオフレコ〔記者会見やインタビューなどで、公表を差し控えてもらうこと。また、その前提で話すこと〕談話)は、「今までは憲法に近かったが、これからはどうなるか。憲法改正を言う時代だから、非核三原則だって、国際緊張が高まれば、国民が『持つべきではないか』となるかもしれない」と述べ、世論の動向次第では、将来、見直しが政治課題になる可能性もあるとの考えを示した。

 

また、安倍官房副長官の早大での講演内容(「法理論と政策論は別だが、核兵器の使用は憲法上、問題ない」とのサンデー毎日の報道)を受けてのやりとりで、福田官房長は02年5月31日午後の記者会見において、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核兵器の保有について「憲法上、法理論的に持ってはいけないと書いてはいないと思う。積極的に政策判断として持つのはやめようというのが非核三原則だ」と説明した。

 

これに対し、W杯開会式出席のため訪韓中の小泉首相は同日夜、「国民感情がどうなるのか。社会情勢、武器の進歩、わからないが、私の内閣では非核三原則を堅持します。(見直しは)全く考えていない」と同行記者団に語った。

 

なお、自民党の古賀誠前幹事長は02年6月1日午前、政府首脳発言について「非核三原則は厳守すべきだ。唐突な発言で、今なぜ、そのようなことを言うのか分からない」と批判した。

 

また、自民党の久間章生政調会長代理は02年6月2日のNHK「日曜討論」で、「発言の真意はどの辺にあったのか、はっきりと弁明する方がいい」と、さらに同党の町村信孝幹事長代理も同日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」で、「若干軽率のそしりは免れない」と指摘した。

 

 

「北朝鮮が核実験を行えば日本、台湾、韓国は自身の核兵器開発の計画を検討するだろう」。米下院の情報特別委員会が最近(06年10月3日公表した報告書(北朝鮮の核開発に関する報告書)にこんな一節がある(06年10月13日日付『東京新聞』;一面企画「広がる衝撃波」から)

日本のことを分かっていない。

北朝鮮が核実験実施(06年10月9日)を発表した後の国会審議(06年10月10日)。公明党の東順治氏が「日本も核兵器を持つべきだという議論が起きかねない」と指摘すると、安倍首相は「核保有の選択肢を持たないということの変更は全く念頭にない。非核三原則 には一切、変更がないとはっきり言っておく」と答弁した。疑念を挟む余地のない言い方だ。

共産党の笠井亮氏が「北朝鮮に核兵器開発の放棄を迫る上で、最も道義的な説得力を持つのは被爆国日本だ」と指摘すると、今度は「核兵器の悲惨さを誰よりも知っているのは日本国民であり、核の廃絶が日本の究極的な目的だ」と断言した。

「核兵器を造らず、持たず、持ち込ませず」という非核三原則を提唱したのは佐藤栄作元首相。首相の祖父、岸信介元首相の弟になる。三原則や核拡散防止条約への調印を評価され、1974年にノーベル平和賞を受けた。

受賞記念演説では「わが国のいかなる政府の下においても、この政策が引き続き継承されてゆくであろうことを信じて疑わない」と、後世の指導者に「国是(こくぜ=国全体が正しいと認める、一国の政治上の方針)」の堅持を託した。

国連安保理は北朝鮮への制裁に踏み切ることで合意した。日本は一足早く追加制裁を決めた。緊迫度は高まるだろうが、国是を大事にしながら北朝鮮に核開発放棄を迫っていきたい(06年10月14日付『東京新聞』−「筆洗」)

 

 

 

1967(昭和42)年12月11日衆議院予算委員会

 

佐藤栄作内閣総理大臣

 私の所信表明演説から、実は論争を巻き起こしております。私はいわゆる防衛問題、これはうらはらをなすものは、申すまでもなく、わが国の安全をどうして確保するかという問題なんです。防衛論争こそはわが国の安全論争だと、かように私は思っております。私自身がしばしば申しますように、総理大臣というものの責任、それは一体何なのか。申すまでもなく、わが国を安全な地位に置いて、そうして国民が自由濶達にそれぞれの才能を伸ばすことができる、そういうものが私の責任だと、かように考えております。私はその観点から、やっぱり今日までの自衛隊、同時にまた日米安全保障体制、これがわが国の安全を確保しておるんだ、したがって、しばしば申しますように、この体制はくずさない、かように実は考えております。

 もう一つ、この際私どもが忘れてはならないことは、わが国の平和憲法であります。また核に対する基本的な原則であります。核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まないというこの核に対する三原則、その平和憲法のもと、この核に対する三原則のもと、そのもとにおいて日本の安全はどうしたらいいのか、これが私に課せられた責任でございます。それがただいまやかましく言われておる防衛論争という形でありますが、実は防衛論争じゃなくて、わが国の安全論争なんだ。そうしてわが国の、安全ということについては、われわれ自由民主党のように、ただいま自衛隊、自衛力を持つんだ、そうして日米安全保障条約、そのもとにおいて安全を確保できるのだ、かように申す者もございますし、一部には非武装中立論、これもございます。さような意味で、自衛隊はこれはよけいなものだ、かようにも言っておるし、日米安全保障条約は戦争への道だ、とんでもないものだ、かように実は言っておるように、ただいま国論が分かれておるわけであります。しかし私は、私に課せられた責任から、現状が最も望ましいことだ。やむを得ない方法だと、かようにも思いませんが、私は望ましいことだ、わが国の安全はそういう意味で確保される。したがいまして、私はジョンソン大統領とこの前一九六五年に会ったときも、また今回会ったときも、日米安全保障条約というものは日本が受けるいかなる攻撃に対しても守ることができるのか、言いかえるならば、核攻撃に対してもこれはやはり役立つのかと、こういうことを実は申しております。ジョンソン大統領は、明らかにあらゆる攻撃から日本を守りますと、かように申しております。これがいわゆる日米安全保障条約の目的であります。これは攻撃的なものでは絶対にございません。私は、このことは平和憲法のもとにおいても矛盾なく守られる筋のものだと、かように考えております。

 

成田知巳(日本社会党)委員

いままでの政府の御答弁とは違ってきたと思うのです。いままで政府は、核持ち込み――核保有はもちろん、核持ち込みはいたしません、もし事前協議が要求された場合、形の上で要求された場合は拒否する、そのことを言われたと思うのですが、基本方針としてはあくまでも核保有はしない、核持ち込みはしない、これがいままでの方針だ、こう理解してよろしゅうございますね。

 

佐藤内閣総理大臣

本土並みということを申したのです。だから、本土並みに扱うことです。だから、いまのような本土も核の装備はしない、核の持ち込みもしない。もしもこれをやるならば、重大なる装備の変更だから事前協議の対象になるということを、本土並みの場合には当然申すわけです。だから、さように御了承いただきます。

 

成田委員 

もちろん重大な装備の変更だから、事前協議の対象になるということ、これは条約解釈としてはそうでしょう。しかしながら、いままでの政府の方針は、そういう対象になるとかならないとかという条約解釈じゃなしに、核持ち込みはやりませんと、これはいままで総理は何回も言っておられたのですね。したがって、核持ち込みはしないという方針は変わらないのかどうか、それを私は言っているわけです。いまの総理の御答弁でわざわざ当然のこと、事前協議云々の問題を出すことは、事前協議のいかんによっては持ち込みを許し得ることがあるのだ、こういうようにもとれますから、そういう誤解のあるような発言はおやめになって、持ち込みはいたしません、その方針は変わらないのなら変わらないと、こう明確にひとつ断言していただきたいのです。

 

佐藤内閣総理大臣

 先ほど来からいろいろ議論されておりますが、条約論争、政策論争、これは区別して考えていただいたらいいだろう。私は条約のたてまえを申しております。これは本土並みだということでございます。

 

成田委員

私は、条約のことについては、いま申し上げていないのです。したがって、方針としてはどうかということをいまお聞きしているのです。従来の方針がお変わりになったのかどうか、それを確認しておきたい。

 

佐藤内閣総理大臣

本土としては、私どもは核の三原則、核を製造せず、核を持たない、持ち込みを許さない、これははっきり言っている。その本土並みになるということなんです。

 

成田委員

それならそう言えばいいです。そんなに大きな声を出す必要はないです。
 そこで、お尋ねいたしますが、本土並みになるという基本方針は、みずから核の製造、保有はしないということですね。それから核兵器の持ち込みも許さない。これが三原則だ、こう御確認あったわけです。
 したがって、そこで私、さらに確かめておきたいのですが、日本は核兵器を保有しない、製造しない。保有しないということは、攻撃用はもちろんのこと、防御用の核兵器も持たない、こういうことだと理解してよろしいですか。

 

佐藤内閣総理大臣

私は、先ほどの持たない、製造しない、持ち込みもしない、この三原則を忠実に守るということでございます。これはもうすでに核の平和利用についての法律が、そういう意味のことをはっきりしておるように私は解釈しておりますが、憲法自身に、核兵器について云々は、これは攻撃用の兵器は持たないということだと思いますね。しかし、憲法自身の問題じゃなくて、核の平和利用というこのほうの法律で、その趣旨が明確になっている、かように御了承いただきます。

 

成田委員

 いまの答弁は、一体何を答弁されたかわからないのですがね……。

 

佐藤内閣総理大臣

 ちょっと待ってください。
 いまの核の問題というのは原子力基本法でございます。法律から申せば原子力基本法です。

 

成田委員

そんなことは御訂正されなくてもこちらはわかっておりますが、いま私がお聞きしましたのは、三原則を堅持されますという、製造もしない、保有もしない、持ち込みもしない。その保有という中に、攻撃用の核兵器はもちろんのこと、防御用の核兵器も持たない、こういう理解でいくべきだと思うのですよ。これは解釈の問題ではないですよ。方針の問題ですよ。いままで核は持ちませんというのは、攻撃用も防御用も持たないんだ、こういう意味と私たちは理解している。国民もそう理解している。政府もそういう答弁をしてきている。したがって、その点を明確にしていただきたい。

 

佐藤内閣総理大臣

ただいままではっきり、いま成田君のお尋ねのとおり申しております。

 

成田委員

そういたしますと、日本は核兵器を持たないということは、攻撃用はもちろん、防御用も持たないことだ、こういうことを確認されたわけです。
 そこで、次にお尋ねしたいことは、日本国土への持ち込みをしないということです。三原則の一つですね。日本国土への持ち込みはいたしません。その場合、小笠原のように日本に返還され、日本の施政下に置かれる地域にも核は持ち込まない、これはもう当然のことだと思うのです。日本の本土並みになるのですから。したがって、小笠原の場合、日本に返還される、日本の施政下に置かれる、そういう地域にも核は持ち込まない、当然のことだと思いますが、念のためにひとつ確かめておきたい。

 

佐藤内閣総理大臣

先ほどから非常にはっきり申し上げております。沖縄――ではない、小笠原が返ってくる。小笠原が返ってくると、小笠原が本土並みになる。したがいまして、本土と同一でございます。

 

成田委員 

どうも沖縄と言いながら訂正されたことは、少しあとに問題が残るように思いますが、小笠原が本土になるんだから本土並みだ、こう理解すべきですね。返還された場合は本土になるんだ。したがって、取り扱いも本土並みだ。
 そう理解した場合、さらにもう一つ確かめておきたいことは、持ち込まぬということは、新しく持ち込みを許さないということなのか。そうではなくて、もし小笠原に核基地があったとした場合、これは従来あるわけです。総理の言う持ち込みというのは、新しく持ち込みをしないのだ、従来あるのは別だ、もしそういうことがあればたいへんだと思うのですが、総理の言われるのはそうじゃなくして、新しく持ち込みを許さぬというだけではなしに、もし小笠原に核基地があればこれを撤去する。すなわち日本の施政下、あなたの言われる――聞いておってください。あなたの言われる日本の施政下では一切核兵器は存在させぬ、こういう意味だと当然理解すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

佐藤内閣総理大臣 

私は、小笠原の現状をよく知りませんけれども、おそらくないのだと思っております。また、そういうことがあれば、そういう点をも含めて十分返還について交渉をいたします。そして、こういうことがあってはならないというのがいままでの考え方でございますから、この考え方は、私、変えるつもりはございませんので、こういう点ではアメリカによく実情を話しして、そしてそういうものはないようにしたいということでございます。

 

成田委員 

私は小笠原の例をあげたのですが、要するに解釈の問題です。これは明確にしておきたいのですが、要するに将来、日本に返還される地域ですね、その地域に核を持ち込まないということは、新しく持ち込まないだけじゃなしに、もしあればこれを撤去する。いわゆる日本の施政下に置かれる地域は一切核兵器は存在させないのだ、こういう理解でいいですね。――それは政策の問題だから、法制局長官、いろいろ言われる必要ないです。

 

佐藤内閣総理大臣 

先ほど来お答えしたとおりでございます。

 

成田委員 

わからないから、私お聞きしているのですがね。その点明確にしていただきたいと思うのですよ。これは沖縄問題にも関連がある問題です。あなたは一般論としては、持ち込まない、持ち込まないと言って、持ち込みは許さぬと言いますね。そこで持ち込みの場合、私、二つ場合があると思うのです。一つは、新しく持ち込むという場合。それから、いままでその地域にあって、そして日本の施政下に置かれる、その場合も、日本の施政下に置かれた以上、これは持ち込みになるのだから私たちはそういうものは認めない、こう当然理解すべきだと思うのです。ただ、三百代言を使う人は、持ち込みというのは新しく持ち込むことだ、昔からあったのは云々というおそれもありますので、そこで明確にしておきたいのですが、要するに、今後返還される地域においては一切核兵器は存在させない、これが持ち込みの意味だと理解してよろしゅうございますか。

 

佐藤内閣総理大臣

小笠原についてはっきり、ただいまのように本土並みに扱うということを申し上げます。したがいまして、新しく持ち込むことももちろん、また現在あるならば、そういうものの撤去についても十分折衝すると、かように御了承いただきます。

 

成田委員

小笠原についてということは、筋論からいって――小笠原を一つの例に取り上げたのですが――筋からいって、日本の施政下においては一切核兵器は持たない、これが持ち込みを許さないという趣旨だと、こう理解していいですね。

 

佐藤内閣総理大臣 

現状において申し上げておるので、その点を間違いのないように願います。

 

成田委員 

現状においてというのはどういうことですか。私は、総理のいままでの基本方針、日本は核を持ちません、持ち込みは許さない、この持ち込みの内容を聞いているのです。日本の場合、みずからの場合はわかりました。みずから保有しないということはわかりました。しかしながら、持ち込みの意味なんです。要するに、現状というその方針です。基本的な方針なんですよ。日本の施政下では、持ち込みということばは、これは結局施政下に入ったところには核兵器は認めません。これは日本の本土になるわけですから、本土には核兵器は持ち込みを許さない。そのことは、一切本土には核兵器は持たない、こういう趣旨だ。これが政府の方針じゃありませんか。それを現状においてはということを言うのは、政府は何をお考えになっているか。したがって、その点は方針として明確にしていただきたい。

 

佐藤内閣総理大臣 

小笠原の質問は先ほどのでいいと思いますが、ただいまいろいろ成田君がお尋ねになろうとするのは、沖縄だろうと思います。沖縄についての現状は、十分私どもも考えなければならない。また、沖縄自身がどういうような状況に置かれておるか、これは沖縄が返ってくるときに考えようじゃないかというのが政府の態度でありまして、今日から、ただいまのようにはっきり絶対に持たないのだ、かように言うことがわが国の安全にはたして効果があるかどうか、実はここに問題があるのです。私はその点をよく考えて、しかもたびたび申し上げておるように、わが国の安全は片一方で確保するし、祖国復帰はぜひとも実現したい、この二つはいつも念頭から離れないで、二つをあわせて考えている。この点を社会党の方にもぜひ御了承をいただきたいと思う。

 

成田委員 

これはいよいよ総理、馬脚を出したと思うのですね。小笠原と沖縄は違う、沖縄においては核兵器基地つきの返還があり得る、こういうことを総理は確認したことですね。そうじゃありませんか。それで、いま安全保障の問題と沖縄の返還の問題をからませましたですね。これはもともとからむ性質のものじゃないのですよ。この点については後ほど私、御質問申し上げたいと思いますが、全く次元の違ったものを同時にやっている。同次元でやっている。大体安全保障の問題については私たちも関心を持っております。私たちは私たちの政策を持っております。その問題は別に論議するとして、なぜ安全保障の問題を考えなければ沖縄の返還はできないのですか。そういう条約上の根拠はありますか。安全保障の問題を考えなければ沖縄の返還はできないという根拠はありますか。条約上の根拠はありますか。それは政治論なんですね。政治論については、まず条約上の根拠というものを確立して、安全保障はどうあるべきかということを大いにやるべきだと思う。条約上の根拠も無視しまして、そうして安全保障の問題を考えなければいかぬ、したがって、沖縄については核基地の返還もあり得るということは、これは全く暴論だと思うのです。条約上の根拠は一体どうなんですか。安全保障の問題を考えなければいかぬ、沖縄の基地つきを認めなければいかない、そういう条約上の根拠はありますか。

 

佐藤内閣総理大臣 

私はこれはたいへんな問題だと思います。私自身、総理大臣というのはこれは政治家でございます。政治論議するのはあたりまえなんです。私自身が、わが国の安全確保について絶えず頭を悩ましておる。いわゆる法律家ではない。だから弁護士は弁護士らしい御意見をしたらいいだろうけれども、政治家が政治家らしい議論をするのは当然じゃないかと、かように私は思います。そうして、この沖縄が果たしておる役割りというものは、ただいまこれはたいへんな役割りを果たしておる。日本の安全はもちろんのこと、極東の安全にこの抑止力が非常な効果をあげておる。こういうことを政治家は考えるのはあたりまえじゃないでしょうか。私に政治家をやめろとおっしゃればそれはまた別です。

 

1970(昭和45)年3月3日衆議院予算委員会

楢崎弥之助(日本社会党)委員

 そこで、すでに長官のお考えは新聞でもある程度出ておりますが、その中で特に注意を喚起するようなお考えが示されておるわけです。まず私の提議の中にも入れておりましたが、非核三原則というこの原則を国防の基本方針の中に明文化されますか。

 

中曽根康弘国務大臣(防衛庁長官)

 その点を入れるか入れないかは検討の一つの対象にはなっておると思います。

 

楢崎委員

 長官のお考えはどうですか。

 

中曽根国務大臣

 そのことも目下検討中であり一まず。

 

楢崎委員

 長官は、新聞には非常にすらすらとお考えを発表されておるようですが、公式の場になるとなかなか慎重になられるわけですけれども、これは一つの課題になっておる。総理大臣は、これは国防の基本方針の中にやはり明文化したほうがいいとお考えでしょうか。

 

佐藤栄作内閣総理大臣

 私は、核兵器については持たず、つくらず、持ち込みもしない、この三原則を守る、こういうことを固く国民に約束しております。ただ、私だけの約束、これでいつまでもしばる、こういうことはどうかと思いますので、私はそういう点はよく考えておくべきではないか、よく研究すべきじゃないか、かように思っております。私に関する限りは疑問のないように非核三原則は守る、これを堅持すると、はっきり申し上げておきます。

 

楢崎委員

 それでは、いずれ国防の基本方針が改定される際の国防会議にかかるわけですから、議長として総理は、いま私が申し上げた非核三原則を明文化するかどうかはよく慎重に検討したい、そういうことでございますね。
 次に、中曽根長官は、国力、国情に応じて防衛力を整備するという今日までの方針に対して、これを省き、必要性に応じて自衛力を整備する、こういうお考えのようでありますが、この必要性に応じて整備するというこの整備ということは、増強だけを意味しておるのか、それとも縮小も含まれる、こういうふうにお考えでしょうか。

 

中曽根国務大臣

 いま申されましたようなことばに対応する考え方は、外交と一体、諸国策と調和を保つ、そういうようなニュアンスが私は適当であるだろうと思っておるのです。「必要」ということばを「国力、国情」にかえて用いようという考えは、私個人としてはないのです。必要というものも一つの条件である、しかし、それがオールマイティーではない。やはり諸国策と調和を保つということが非常に大事ではないか、そういうふうに考えているわけでございます。

 

 

政府首脳(福田長官〔オフレコ〕)発言

 非核三原則は今までは憲法に近かったけれども、これからはどうなるのか。憲法改正を言う時代だから、非核三原則だって、国際緊張が高まれば国民が持つべきではないか、となるかもしれない。宗教だってそうだ。イスラム教が奥さん4人持つのだって生活の知恵で、子孫を絶やさないためかもしれない。

02年6月2日付『毎日新聞』

福田長官(記者会見〔オンレコ〕)発言

 自衛として許される範囲でこれは(核兵器の保有問題は)考えていくべきであるという、そういう基本方針を持ってるわけでしょ。ですから長距離ミサイルとか、原子爆弾とか、そういうものを日本は持っていない。非核三原則ということもある。理屈から言えば(核兵器は)持てるだろうと思う。しかし政治論としては、それはないだろうと思う。これは私の個人の考え方として申し上げる。専守防衛だから、そういうものを持つ必要がない、むしろ持たないということだ。しかし、そういう手段を憲法上、法理論的に持っちゃいけないというようには書いてないだろうと思う。持ってもいいが、使っちゃいけないと。それをもう少し積極的に政策判断として、持つのをやめようというのが非核三原則だ。

02年6月2日付『毎日新聞』

 

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