第4章  アイスランド:ブルーラグーン

アイスランドとは
アイスランドは、総面積10.3平方qで、これは日本の4分の1ほどの大きさである。ちょうど、北海道と四国を足したくらいの大きさと考えてもいい。人口は30万人。人口密度は1平方q当たりに3人の割合となっている。ちなみに、松山市の人口密度は1,200人/平方qとなっている。
アイスランドは、北緯63゜〜66゜という緯度で島の北部は北極圏にかかっていることと、その国名から非常に寒い印象を受ける。しかし、7月の平均気温は11℃、1月の平均気温は1℃前後、年間の平均気温は4.3℃ほどで、他のフィンランドやスウェーデンなどの北欧諸国と比べると暖かい部類に入ると考えられる。これは大西洋を北上する暖流であるメキシコ湾流(北大西洋暖流)の影響で、アイスランド南西部は、北欧の中では暖かい気候になる。アイスランドはオーロラが観測できるが、それが出来る地域では一番暖かい。

また、アイスランドは大西洋中央海嶺上に位置しているため、海洋プレートの生成が地上で見ることが出来る。これによって生じた大地の裂け目をギャオと呼ぶ。大西洋中央海嶺が島の中心を貫いているような島は世界でもアイスランドしか存在しない。

アイスランドは4WDでの雪上走行を楽しむメッカともなっている。しかし、アイスランドでの4WDの走行には事故の危険が伴う場合が多い。例えば、予想外の天候の変化や氷河のクレバス、泥炭地などのある危険な道を走行するためにはアイスランド仕様に改造した4WDでなければ通行することは出来ない。タイヤを幅が60センチほどもある大型のものに交換し、自動車電話や無線を装備したものにする。また、実際に走行する場合には2台1組になって移動しなければならない。1台が故障した場合に、もう1台がバックアップをするためである。そのように幾重にも安全策を講じているのは、アイスランドの人々が自分の国の自然の危険性を十分認知していることの表れであると考えられる。

地震と火山の島国 極北アイスランドで考えたこと、島村英紀、岩波ジュニア新書、2001年、p. 71参照
アイスランド大使館ホームページ「アイスランド・国と自然」の項


アイスランドの経済
アイスランドの産業として、主に漁業、農業、観光が挙げられる。漁業はアイスランドの産業のほぼ70%を占め、雇用のおよそ8%を支えている産業である。しかし、漁獲高の変動によって、国家の財政や国民生活に影響を与えるため不安定なものでもある。農業に関しては、主に酪農が行われている。酪農では牛、馬、羊を用い、肉や牛乳の時給、羊から取れる毛皮の製品化なども行われている。また、温水を利用した野菜や花などの栽培も行われている。しかし、あくまで温室で栽培できるものに限られてしまうため、大きな面積を必要とする麦の栽培などはできない。それらは主に輸入に頼っている。観光に関しては、ホエールウォッチングやブルーラグーンなどの温泉、川や湖などでのフィッシングもイベントとなっている。また、日本からのチャーターでの直行便も就航し、就航前の2000人から6000人へと3倍の伸びを示した。

msn エンカルタ百科事典 アイスランドの項参照
前掲 極北アイスランドで考えたこと、p. 91 参照

アイスランドという国が出来るまで
アイスランドは元々無人の島であった。紀元前300年に古代ギリシア人に発見されたという記録が存在するが、その時に発見された島が現在のアイスランドであるかどうかは定かではない。始めてここで越冬したのはヴァイキングのインゴルフル・アルトナソンだといわれている。このとき彼が「氷の土地」と呼んだのが国名の由来とされている。870年から植民開拓が始まり、930年までにノルウェー人、スコットランド及びスウェーデンのケルト人等が中心となり、およそ2万人が移住した。930年には全島の調整機関として世界最古の近代議会であるといわれているアルシングが創設され植民は終了した。初期のアイスランドは定住地域ごとに自治が行われ、当時、国王が君臨していたほかのヨーロッパ社会とは大きく異なっていた。

アイスランドの政治
議会であるアルシングは63名の議員で構成されており、議員は4年に1度選挙で選出される。議会のトップは内閣を持つ首相であり、国のトップである大統領の指名によって選出される。大統領も4年に1度選挙によって選出されるが、これは名誉職となっている。この大統領・首相制はドイツに近い。

また、アイスランドの2007年5月に行われた総選挙の投票率は有権者数22万人に対し83.6%と高い数値を出しており、政治に対する国民の強い関心の表れでないかと考えられる。*1)ちなみに、2007年の衆議院議員選挙の東京での投票率は65.59%という数字になっている。*2)

アイスランドの税金は給料の40%を取る。その代わりに、医療費や教育費は無料となっている。しかも、驚くべきことにアイスランドの国民が海外で怪我や病気をして病院に行って治療をした場合、それにかかった医療費はアイスランド政府が全額返金してくれるというのである。これは、アイスランド政府の方針として「国民の健康管理」が最重要であるという考えに基づいている。*3)

 また、アイスランド政府は世界に先駆けて「化石燃料を使用しない国づくり」を行っている。発電に関しては地熱発電や水力発電を使用すればいいが、自動車はガソリンを使用しなければならない。そのため、アイスランド政府は国全体を上げての水素エネルギーの開発を行い、自動車に水素電池を使用できるようにする研究をすることにした。その一環として1999年にノルウェーなどの海外企業との共同で「アイスランド水素燃料電池会社」を設立。水素電池の実現に一歩踏み出した。そして、30年後には化石燃料を使わない社会を実現しようと日々努力を重ねている。*4)

以上4項目は Wikipedia「アイスランド」の項を参照
*1)アイスランド専門レーベルICELANDia
*2)東京都選挙管理委員会ホームページ
*3) 前掲 極北アイスランドで考えたこと、p.146 参照
*4) 同上 p.151参照


アイスランドの生活
アイスランドでは、その名物である温泉を生活の中にも取り入れている。例えば、首都レイキャヴィークの中心付近にあるゲストハウスには、温水に豊富に湧き出る温泉が引いてある。そのゲストハウスでは、シャワーやキッチンのお湯も温泉になっている。また、室内の暖房も、お湯での暖房となっている。ぬるま湯から熱湯まで湯温調節のできるパネル式ヒーターが設置してあり、それで部屋を暖める。ちなみに、その水道代は無料になっている。それは、アイスランドには氷河が溶けた水がいくらでもあるからだという。そして、どの家庭にも温水が来ているため、ほとんどの家の庭には、温水で暖めている大きな温室がある。温水を使用する場合には多少の費用がかかるが、その費用は、例えば「地震と火山の島国 極北アイスランドで考えたこと」の著者、島村英紀さんの友人Sさんの家庭の場合では、温水を暖房、風呂、シャワー、温室とに使い、月にわずか4000円ほど払えばいいという。

 また、水道代だけではなく、電気代も日本よりもずっと安い。それは、地熱発電によって多くの電気を作っているためである。日本では火力発電が主流であるが、アイスランドでは自然に湧き出てくる蒸気を使って発電しているため、ずっと安く電気が作られるということである。

アイスランド紀行 氷と火の島から、小林理子、彩流社、2001年、p. 32参照
前掲 極北アイスランドで考えたこと、p. 9参照

ブルーラグーンとは
ブルーラグーンは、首都レイキャヴィークから南西約40q、車で15分程度の場所にあるアイスランドでも有数の観光スポットである。レイキャヴィークからのバスもあり、アクセスはしやすくなっている。面積は約5000u、深さは最深部で1.4mになる。

ブルーラグーンは非天然湧出の温泉で、隣接するスヴァルトセンギ発電所が、地下2qの深さから汲み上げた240℃もの超高熱水を使用したあとの70℃前後の排水を、38℃程度にコントロールしたものである。原水の70%は海水なので塩分濃度は高い。後述するように、ブルーラグーンには皮膚病に対する高い治療効果があるため、海外からの利用者も多い。メインハウスには、更衣室、レストラン、温泉成分で作った美用品を売っている売店などがある。入場料は大人1人につき1400ISK(アイスランドクローナ・2007年2月で1ISK=1.81円)である。

ブルーラグーンの効能
ブルーラグーンの効能は、前述したように皮膚病に対しての高い治療効果がある。またミネラル塩やケイ素、藻などの有効成分が豊富に含まれている。ミネラル塩は体内のバランスを保ち、心身をリラックスさせてくれ、また、藻の成分は肌に栄養を与え、皮膚をなめらかにする。泥パックには白色のケイ素が含まれており、肌をきれいにして、角質を取り除く効果がある。

上記二つにつき、インターネット百科 Wikipedia「ブルーラグーン」の項参照
ヨーロッパの温泉保養地を歩く、阿岸祐幸・飯島裕一、岩波新書、2006年、p. 128参照

ブルーラグーンでの入浴
ブルーラグーンでの入浴時には、水着を着けなければならない。それはブルーラグーンのみならず、アイスランドの温泉では基本である。なぜなら、外国の観光客もいるので、肌を見せることを嫌う国の観光客もいるためである。また、入浴前にはプールと同じように液体石鹸で全身を洗わなければならない。

水温は38℃前後にコントロールされているが、場所によって湯加減は変わってくる。手足を伸ばし、ゆっくり入っていると体の芯まで温まることが出来る。しかし、どうやら風が強い日はやめておいたほうがいいらしい。「アイスランド紀行 氷と火の島から」の著者、小林理子さんの記述によれば、たとえ雪が降っていたとしても、風がなければゆっくり温まることができるらしい。また、着替えてから入浴まで、水着一枚で外気にさらされることになるので気をつけておいたほうがいい。ちなみにアイスランドの年間平均気温は最高でも7月の10.7℃。これで脱衣所から入浴場まで行かなければならないのだから、凍えてしまうのは当然かもしれない。

現在では、日本からアイスランドへの直通便も運行しているようなので、アクセスしやすい環境になっていると思われる。

前掲 アイスランド紀行、p. 190参照