2009年度「教職総合演習」発表会(2009年12月19日)
「教職総合演習」では、地球環境、異文化理解など人類に共通するテーマや、少子・高齢化と福祉、家庭の在り方など我が国の社会全体に関わるテーマについて、教員を志願する者の理解を深め、その視野を広げることを目標に、ディスカッション等を中心に演習形式の授業を行ってきました。そうしたゼミ単位での学習や調査の成果を発表し、議論する機会として、発表会が行なわれます。以下は、川口ゼミのゼミ生が発表したテーマとその要旨です。
タンポポに吹く風...北風から南風へ ― 子どもの貧困 ―
 道端にしっかり根づき、花を咲かせるという希望を、どのような時も持ち続ける花、タンポポ。まるで子どものようだと思いませんか? そのタンポポのような子どもたちに、不況の今、冷たい北風が吹いています。
 子どもたちを襲う貧困は、どのような原因で起き、子どもたちにどのような影響を及ぼしているのでしょうか。それらを追究し、解決策を考えることで、南風という暖かい風を子どもたちに送ることができたらという思いで、子どもの貧困の実態に目を向けました。
どうかどうか、楽しい毎日でありますように ― 発達障害の子を持つ家族からのメッセージ ―
「どうかどうか、楽しい毎日でありますように。」この言葉は発達障がいの子どもを持つ親の言葉です。子どもの日々の幸せを願うのは、どの親も同じですから、当たり前の言葉だと思いませんか? しかし、この言葉にはどのような想いが込められているのでしょうか?
 現代ではクラスに1人は発達障がいの子どもがいると言われています。彼らは他の子どもたちと少し学び方が違うだけですが、日常生活の中で理解されにくいことがあります。また、その子どもの家族のことについても、あまり理解されていません。そこで教職課程に身を置くみなさんに、発達障がいを持つ子どもといっしょに生きている家族の想いを、私たちが伝えます。


 

2007年度「教職総合演習」発表会(2007年12月22日)
■「こんぺいとう」のような子どもたち ―学習障害(LD)―
「こんぺいとう」を思い浮かべてください。その一つ一つには突起があります。私たちはその「こんぺいとう」の姿をLDの子どもたちに重ねました。丸くなれない「こんぺいとう」は、ほんの少し人と違うという理由だけで、「普通」ではないと判断され、輝くための権利を奪われています。
 LDとは一体どんな障害なのでしょうか?なぜ今になって耳にすることが多くなったのでしょうか?私たちはこのLDの問題に焦点をあて、その定義、教育現場における取り組み、地域社会の支援などについて、インタビューも踏まえながら、考えてみたいと思います。
■日本のマイノリティ ― 在日コリアンの巻 ― 私達が暮らす日本には色々なマイノリティが存在する。その中で今回私達は「在日コリアン」に焦点をあてて調べてみた。実際には非常に多くの在日コリアンが様々な分野で活躍しているにも関わらず、日本人には見えにくい存在になっている。彼らはなぜ在日コリアンになったのか?彼らにとって日本は暮らしやすい国なのだろうか? 調べを進めていくにつれ、日本・韓国・北朝鮮3つの国で揺れ動く彼らの苦悩が見えてくる。




2006年度「教職総合演習」発表会(2006年12月20日)
「死」から「生」を見つめて ― 終末期医療を考える
 すべての人間が必ず迎える「死」。あなたは、家族や大切な人の「死」、また自らの「死」について考えたことがあるだろうか。私達は、その「死」の最前線に位置する終末期医療、その中でもホスピスという分野に着目し、「死」を通して「生」を考える。そこから改めて、命の大切さや家族とのつながり、自分らしく生きていくとはどういうことなのかを見つめていきたい。そして、これからの一日一日をより充実した「生」にするためのきっかけにしてもらえたらと思う。
 望まれる命・望まれない命 ― 不妊治療と妊娠中絶を考える ―
 結婚や育児が身近になるにつれ、「妊娠中絶」は他人事ではなくなる。私たち学生の妊娠はおそらく望んだ命ではないので、産み育てるという決断は簡単には下し難い。しかし、中絶はおなかの子どもの命を奪うことであり、母体にもリスクが伴う。その一方で、子どもを望んでも授かることのできない場合もある。命を授かるということを、妊娠中絶と不妊治療という観点から、自分の問題として考えてもらいたい。



2005年度「教職総合演習」発表会(2005年12月17日)

 ホームレス ― 冷たい風と視線の中で ―
 ホームレスの問題は、今や日本全体の問題になっている。しかし、多くの人々が、ホームレスに対して無関心であったり、間違った認識を持っていたりする。彼らは、冷たい視線を向けられ、時には危険に直面し、寒い日も暑い日も路上での生活を送っている。一方で、彼らを支援する人たちも、なかなか正しい理解を得られずにいる。閉鎖的なこの社会の中で、注目されることが少なく、しかし深刻なホームレスの問題について考えていく。
 人と動物の共存 ― 動物たちのために私たちができること ―
 今日、私たち人間は、動物虐待や動物実験などでたくさんの「命」を奪っています。日本では、年間2000万頭もの命が動物実験の犠牲になっており、また、毎年50万頭以上もの犬や猫が殺処分されています。動物たちは、人間のためにいろいろ貢献してくれているのに、そのことを自覚して、共存しようとしている人間はほんの一握りです。長い間動物たちを苦しめ続けてきた私たち人間にとって、動物を守っていくことは義務であり、責任でもあるのです。

2005年度「教育実習事前事後指導」実習報告会(2004年7月2日)
 教職課程では、教育実習の事後指導として、実習を終えた学生が集まり、それぞれの実習経験をグループで話しあい、またそのグループでまとめたことを報告しあう機会をもっています。

2005年度「教育実習事前事後指導」合宿(2005年4月29日〜30日)
 教職課程では、教育実習の事前指導として、1泊2日の合宿を行ない、実習のための最終の準備を行なっています。



2004年度「教職総合演習」
発表会(2004年12月18日)


高齢者の生きがい
介護と共に生きるには
井石美波・河上恭子・大西由美子
高齢になって介護が必要になったとき、私たちは主に入所施設での介護か在宅での介護か、どちらかの選択をせまられることになるだろう。そこで、在宅における介護に焦点を当て、現状の問題点からそれらの解決策を、介護保険、デイサービスの利用などから考える。また、高齢者自身の生きがいについて、「いきがい交流センターしみず」の事例のほか、海外ボランティアやシルバー人材派遣の参加者の方たちの声をもとに考えていきたい。

Eating styleを考える
食問題の解決に向けて
尾崎裕・佐藤直子・高橋陽子

私たちは自由な食生活を享受しているが、そこには様々な問題が生じている。栄養バランスの崩れ、過食、欠食、孤食といった生活習慣に基づく健康問題、さらに食生活が環境にもたらす負荷は大きい。こういった諸問題を改善・解決していく様々な運動が各地で起こっている。そこで、食育に力を入れている学校給食、また食文化を見直すスローフードに注目し、自分の食生活に自信を持てるようeating style(食生活に対する姿勢)を考える。


見えないSOS
発達障害とその対応策
二上雅史・多田香織・大野順子・村上友理
私たちは、生まれてから小・中学生くらいまでの年齢の子どもに焦点を当て、見落とされがちな子どもの発達障害と、その対応策について調べることにした。まず最初に、サイレント・ベビーとどう向き合っていくかについて考えてみたい。そして次に、障害児に対する県のサポート・システムや、地域の施設の対応などについて検討する。さらに、幼児の預かり、保護者の本音、相談所やその他の窓口についても発表することにしたい。

2004年度「教育実習事前事後指導」
実習報告会(2004年7月3日)

2004年度「教育実習事前事後指導」
合宿(2004年4月29日〜30日)



2003年度「教職総合演習」
発表会(2003年12月20日)


働く女性の現状 
女性は欠かせない存在

 現在、男女雇用機会均等法により、募集・採用から定年・退職・解雇に至るまでの雇用管理システムのあらゆる面で、女性に対する差別が禁止されている。それにもかかわらず、男女差別は未だに減っておらず、女性は多くの悩みを抱えている。そこで現在問題になっている働く女性の現状と悩み(昇進問題・セクハラなど)を取り上げ、それらに対する政策や今後の課題を中心に発表する。女性も活躍できる職場作りが望まれている今、これらの問題がどのように変化しつつあるかを考えてみたい。

ニーズに応える高齢者施設 
グループホームを中心に

 グループホームは、今までの高齢者施設では満たされないニーズに応えるために生まれてきた。この発表では、老人ホームでは満たされないニーズがなぜ生じるのかについて考え、また、グループホームが必要とされる背景(社会福祉・歴史)を通し、グループホームとは何なのかについて検討する。具体例として、松山市のグループホームを取り上げ、さらに、全国における施設の数とそれを必要とする人の数とを比較することによって、現状について見ていく。

少子化を考える
 我が国では、現在、少子化が大きな問題となっている。このまま少子化が進めば、労働力人口の減少により日本経済の成長が制約されたり、子どもの健全な成長に影響を与えたりと、その問題はさらに広がっていくであろう。また、少子化の原因は様々、且つ複雑であるが、私たちは、その中でも根本的なものであると考えられる二つの問題、すなわち「結婚に対する意識」と「将来の子どもにかかる経済的不安感」に焦点を置くことにした。ここでは、この二つの観点から、少子化問題にアプローチする。

子育て支援を考える

 日本では、母親が子供を育てるべきであるという主張や、「女は家庭、男は仕事優先」という性別分業意識が依然として社会の根底にあるため、本来は多くの人が関わって行われてきた子育てを、主として母親が担う社会システムが続いている。それに加えて、人間関係の希薄化や核家族化により、家庭や地域の子育て機能が低下していることも、育児不安の大きな要因である。少子化が叫ばれる現代社会において、松山における子育て支援の現状に触れると共に、日本の子育て支援はどうあるべきかということについて考えていきたい。

異文化理解のねらいとその実状
 現在の国際社会はますます緊密化し、より複雑なものとなっている。こうした状況を踏まえ、愛媛県でも、民間と行政がそれぞれの特性を生かして連携を図り、さまざまな国際交流や国際協力を展開している。そして教育の分野においても、「異文化理解」や「国際交流」を積極的に推進する学校が増加している。この発表では、国際化の基本理念をはじめとして、愛媛県における諸機関の取り組みと、教育における異文化理解教育の進め方に焦点を当てて考察していきたい。