ウォールナット・グローブ(+トレーシー、サンボーン)


ミネソタ州南西部の小さな町、ウォールナット・グローブ。「とうさん」は満足のいく収穫をあげることができませんでしたが、黒土で小麦の栽培にうってつけの土地だそうです。とうさんがあと一年ここにとどまっていれば、豊作に恵まれたのに、と、ローラの保存協会の方がおっしゃっていました。現在は小麦ではなく、トウモロコシと大豆の畑が地平線いっぱいに広がっています。なお、トウモロコシは飼料になるそうです。
私がウォールナット・グローブを訪れたのは、ひどい嵐の後で、町のあちらこちらで木は倒れ、プラム・クリークはかなり水かさが増えていました。ふと『プラム・クリークの土手で』第14章の「春の出水」を思い出さないではありませんでしたが、私が訪れたときに流れていたのは泥水で、ローラのように身体をひたしてみたい気持ちにはなりませんでした。

それでもインガルス家の土手の家のドアの周りにあったように、朝顔の花が見られ、野生のプラムもほんの少しですが、見つけることができました。インガルス家の土手の家があった場所には、それを示す看板があります。場合によっては土手を覆いつくすほどに水かさが増えるそうで、土手に穴を掘ってつくった家(dugout)は、すぐに壊れてしまうのです。だから、中に入って当時の一家の様子をしのぶことはできませんが、ウォールナット・グローブから東へ14キロほどのところにあるサンボーンに、当時の柴土の家(sod house)が再現してあり、土手の家での一家の様子を想像することができます。

"sod house"は穴ぐらではなく、柴土を煉瓦やブロックのように積み上げてつくった家です。木が少ないミネソタなどの大草原で、開拓農民たちは材木ではなく土で家を作ったのです。サンボーンには中に板のはられた「金持ちの家」(richman's soddy)もあり、確かにこれは広くて快適そうですが、普通の農民たちの住んだ家を再現したものは狭く、土間は掃除もたいへんそうでした。

サンボーンの"sod house"の周囲には、小柄な人ならすっぽり埋もれてしまうくらいに背が高い「インディアンの草」(Indian grass)に覆われ、野生の花々の咲き乱れるかつての大草原が保たれています。

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